特に40代になったらうがいの「やり方」を変えるべき

 子供の時にできる虫歯と大人になってできる虫歯は、できる場所が違うって知っていますか? 子供の頃に多発するのは歯の頭の部分の虫歯です。一方、大人になって歯茎が痩せると、隠れていた歯の根がむき出しになり、その部分に虫歯ができます。これを私はそれぞれ「子供虫歯」「大人虫歯」と呼んでいます。

「大人虫歯」のタチの悪いところは、歯の土台の部分の虫歯なので、歯が折れたり割れたりするリスクがあって治療の難易度も高く、歯の寿命を短くしてしまうことです。家の土台をシロアリが食って建物がダメになるのと同じで、小さなダメージでも損害は多大です。

 もう一つタチが悪い点は、歯の根の表面はコーティング効果が低く、直ぐに虫歯になってしまうところです。「子供虫歯」菌の養分はグルコース、フルクトースなどの砂糖成分ですが、「大人虫歯」菌ではご飯やうどんなどの調理デンプンまで養分とします。また「大人虫歯」は「子供虫歯」より酸に弱く、トマトジュースやウーロン茶までも「大人虫歯」ではリスクになります。

「大人虫歯」の観点からすると、ワインを口の中で転がして味わうのはもっての外です。ゆっくりと楽しむなら、リスクの低い豆乳で晩酌をしてもらいたいというのが歯科医師の本音です。

 歯茎が痩せ始めるのが40代。この年代を過ぎた方は、歯と歯の間を洗い流すように水を隙間に強く当てるようなうがいをすることがオススメです。歯周病もこの頃から発症するのですが、歯周病のなり始めの100%は歯と歯の間の隙間の歯茎に炎症が起こることからですから、しっかりとうがいで対策してください。

宮本日出(みやもと・ひずる)
歯科医師・歯学博士、幸町歯科口腔外科医院・院長、日本顎関節学会・代議員・指導医・専門医、厚生労働省認定歯科医師卒後臨床研修指導医教官、その他、大学・学校の教官職等多数。1990年愛知学院大学歯学部卒業後、明海大学で口腔外科最先端医療の臨床的、基礎的研究に従事し、アメリカ、イギリス、オランダ、ドイツ、オーストラリア、日本で160編を超える医学論文を発表。2000年には第13 回日本顎関節学会学術大会で優秀賞を受賞。2007年幸町歯科口腔外科医院(埼玉県志木市)を開業。近著に『「デブ味覚」リセットで10日で-3kg! レモン水うがいダイエット』『えっ!? まだ始めていないんですか? お口からの感染予防』がある。