格段に頻度を高める
北朝鮮のミサイル発射

 北朝鮮は今年に入り弾道ミサイルを33回、巡航ミサイルを3回発射したとみられている。

 特に、9月25日以降、3週間にわたりほぼ2日に1回弾道ミサイルを発射した。さらに米韓空軍の合同演習「ビジラントストーム」が開始されてからは、4日間で3回のミサイル発射を行ったほか、空軍の出動、韓国が海の軍事境界線とする北方限界線(NLL)付近での砲撃を繰り返し行っている。

 しかも北朝鮮による弾道ミサイルの挑発は危険極まりないものとなり、韓国側の反撃もレベルを上げている。

 北朝鮮は11月2日、南北分断後初めてNLLを越えて短距離弾道ミサイルを発射した。

 これへの対抗措置として韓国空軍はNLLの南側から北側に3発の精密空対地ミサイル射撃を実施した。これはNLLを超えた北朝鮮のミサイルの「3倍返し」であるが「断固たる能力と意思を示すためだ」としている。

 さらに3日には米国本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)火星17を発射した。だが、今回のICBMは1・2段目のロケットは正常に分離したが、正常飛行には失敗した。

 こうした北朝鮮の相次ぐ挑発を受け、米韓両軍は10月31日から始まった「ビジラントストーム」の訓練期間を4日から5日まで延長した。延長された5日、米軍は日本の航空自衛隊と九州周辺で訓練を行い、これには金正恩氏が最も恐れる戦略爆撃機B1Bランサー2機が参加した。この2機は朝鮮半島にも電撃的に展開し、韓国軍の4機のF35A、米軍の4機のF16とともに合同演習を行った。

 4日の、北朝鮮軍で序列1位の朴正天(パク・ジョンチョン)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長の談話(詳しくは後述)直後に発射された短距離ミサイルは、新型ではない旧型のスカッドとみられる。新型ミサイルに代わり「軍用機が大規模出撃した」のは、ミサイル在庫が足りなくなったとの見方も出ている。

 北朝鮮の挑発・反撃も手詰まり状態になりつつあるとの見方もあるが、その場合には7回目の核実験を行うとの懸念がある。