「もったいない」に執着するのはやめる、と言われても、すぐにはできないかもしれません。自分があまり興味のない分野や食料品の整理は、比較的やりやすい方が多いようですので、そこから始めてみるといいですね。

大切なモノの「基準」を決める

「家が片づくために、何でも整理して捨てなきゃならないのか。好きなモノ、収集しているモノも処分しなきゃいけないのか」と思う人もいると思います。

 そういうわけではありません。住まいのモノの量は、全体でバランスをとります。

 つまり、家に収まりきる分の総数をスッキリできる数に抑えるということです。家の大きさ、家族の人数などがありますから一概に何千個、何万個という具体的な数は言えませんが、各家庭の収納スペースにほどよく収まる分です。

 ちなみにお金持ちの家にあるモノの数は、標準的な一般家庭の3分の1ほど、といわれます。総数は少ないですが、ある種のモノは、多い場合もあります。たとえば、靴はよその家庭よりも多いとか、コレクションの数が多いなど。

 そして、その分、日用品が少ない、雑貨が少ないなど、バランスがとれているため家の中がモノであふれていないのです。自分の好きなモノ、必要なモノは数が多く、ほかが少ないことで維持管理ができます。

 一方、これが何でも多くあって、モノがあふれていると、好きなモノも必要なモノも埋もれて、気づけば壊れていた、カビが生えていたなんてことになるのです。

“災害時、ひとつだけ持って逃げる”のが大切なモノ

 片づけ相談に伺ったあるお宅は、何もかも「大切」と言い切ってひとつも捨てません。

 4LDKの住まいはトイレ以外、床がモノで埋まっています。大切だというカップが割れた状態で、モノの山から発見されました。割れたカップをビニール袋に入れて、また山に戻していました。

「大切」って意味はなんだろう?と考えた瞬間です。