人事担当者とシニア本人に必要な心がけとは?

“高齢”というだけで埋もれている優秀な人材をどう見つけていくか――そこに、各企業のこれからの人事戦略を左右する鍵がある。とはいえ、これまで、年齢や性別、就労条件などで人材の良し悪しを判断し、「コア業務は正社員、周辺業務は派遣やパート・アルバイト」といった業務配分を重んじてきた企業にとって、シニアを積極的に受け入れ、戦力化することは容易ではないだろう。いま、人事部はどのような視点を持つべきなのか。

川畑 大切なのは、組織の中にあるすべてのジョブを分解し、それぞれの本質を追求していくことです。「この仕事にはどのようなスキルが求められているのか」「どんな人になら、その仕事を任せられるのか」ということを柔軟な視点で見直してみてください。そうすれば、年齢や性別、正社員か否かにとらわれずに必要な人物像が見えてきますし、これまでより容易に人材の確保ができるようになります。言うまでもないことですが、人の能力は、年齢や性別や就労条件で測れるものではありません。大切なのは、仕事を切り分け、組織を組み立てていく“ジョブデザイン”だと思います。

 では、希望する仕事と職場に出合い、年下の仲間とともに気持ちよく働いていくために、シニア当人はどのようなことを心がけていけばよいだろう。

川畑 定年後に自分で仕事を探そうとすると、これまでに携わっていたジャンルの仕事にばかり目がいってしまいがちです。「自分はこのジャンルの仕事しかできない」と決め込まずに、広い視野を持って新しい仕事に就く可能性を考え、探してみてください。その点、私たち人材派遣会社は、さまざまな企業の登録があるので、ご自身が予想していなかった職種も紹介し、その方の力が発揮できるケースが多いです。また、納得のいく仕事に就くためには、仕事内容であれ、ポジションや労働環境であれ、「譲れない条件」の優先順位を持っておくことが大切です。この2つの姿勢が、後悔しない就労につながると思います。

 そして、仕事の満足を得るために重要なことは、持っているものは惜しみなく出しつつ、若い人たちから学ぶことも忘れないという姿勢でしょう。“ギブ&テイク”の考え方を持っているシニアの方は、職場のみんなに求められ、仕事を楽しみながら、企業や社会に貢献しています。