「退職を後押しするインセンティブ制度」を廃止したリクルート

 このRSUは、グーグルや楽天なども導入している。逆にリクルートは、「中途採用者で5年在籍すると年俸1年分支給」というフロンティア制度を2021年に廃止。入社したら5年間は勤める、というインセンティブをなくした。これは、5年間の勤続を推奨するとともに、6年目以降は辞めて後進に譲ってほしいという「退職推奨制度」の意味合いもあった。

 同社はこれまで、5年以上在籍した社員には、このフロンティアの1年分に追加して、35歳と38歳で辞めたら750万円、41歳、44歳、47歳で辞めたら1500万円の退職金を追加で支給するという、節目で次のステージに移ってもらう“当たり年”制度もあったが、同時に廃止。退職金は「3年6ヵ月以上勤めたら100万円」と、激減した。

 この説明会を聞いた中堅社員は「すでに入社している自分には影響ありませんが、(これから入社する社員については)全体的に渋くなったな、という感想でした」。人材輩出企業と言われてきた同社であるが、人材不足のなか、あえて退職を後押しする余裕はなくなった、ということだろう。競合他社に優秀な人材をとられてはかなわない。

(本記事は『「いい会社」はどこにある?──自分だけの「最高の職場」が見つかる9つの視点』の本文を抜粋して、再編集を加えたものです)