ポストSAPIX 中学受験の少数精鋭塾大解剖#13Photo by Toshimasa Ota

首都圏における中学受験塾の王者、SAPIX(サピックス)の次を担う中学受験塾はどこなのか。今、難関校志向を売りとする「少数精鋭型」の中学受験塾の人気が高まっている。知られざる少数精鋭塾の神髄を各塾のキーパーソンへの忖度(そんたく)なしのインタビューで明らかにする連載『ポストSAPIX 中学受験の少数精鋭塾大解剖』#13では、「難関国・私立中受験専門スーパーエリート塾」を掲げ、関西ならではの面倒見の良さで知られる、「希学園首都圏」の山﨑信之亮・学園長を直撃。その前・中・後編のうち後編をお届けする。(教育ジャーナリスト おおたとしまさ)

「手が動いてないのは勉強じゃない」は不十分
「音がしてないと勉強じゃない」

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おおたとしまさ 先ほど「授業と自習を比べたら若干自習の方が重要かな」というのも、すごく大切だと共感するところで。昨今の中学受験ブームだと、少しでも空いてる時間があると個別指導を入れたり、家庭教師を付けたりという傾向が見られます。指導を受けている時間がどれだけ多いかっていう価値観。

山﨑信之亮・希学園首都圏学園長 家庭教師も、しゃべる家庭教師の方が、受けが良かったりしますよね。いや、僕違うと思うんですよ。60分に5回ぐらいしかしゃべらない家庭教師の方がよっぽど技術あると思うんですよね。できないときにすぐ助けちゃダメだと思っていて。もう苦心惨憺して解けたときの「あー!」っていう、アレがないから賢くならないんです、本当に。

おおた 「教えてもらってないからできません」みたいな。まあ、今は大人が言うからな。

山﨑 「上司に向かって、私聞いてないんでできませんとか言っちゃう大人」の原石がそういう人たち。これが「宿題プリント」なんですけど。

おおた あー、これがうわさの。解き直しも日々の計算ドリルもぜんぶがまとまっている「宿プリ」。ベースのオリジナル教材は冊子になっているけど、宿題に関してはこれだけに集中すればいい。ノートも要らない。

希学園の「宿題プリント」希学園の「宿題プリント」。子ども自身の理解度を可視化できるという Photo by T.O.

山﨑 私が子どもの頃からこの形式です。その表紙に今ではチャートを付けています。ただ○か×かじゃなくて、自分の理解度を可視化するチャートです。やっぱり上の子はこれ使ってくれてるんです。「知ってるつもりだったけど×だったよ」とか、「合ってたけどうろ覚えでした」とか、「全く覚えてない」とか。

 栄光学園の先生がおっしゃったと思うんですけど、勉強っていうのは絶対何らかの音がしてるはずだと。勉強してるときって、鉛筆の音か、紙をめくる音か、解説をめくるか、ノートをめくるか、テキストをめくるか、何かしらの音があります。音がしてないと勉強じゃないよと。

 私、それまで「手が動いてないのは勉強じゃない」って言ってたんです。でも苦手な子たちには分かんないんですよ。手が動かないから苦手だし、苦手だから手が動かないので。実は昨年ぐらいまでそういう言い方をしちゃってたんですけど、不十分だったなと思って。それを「音がしてないと勉強じゃない」って言うと、アホな小学生は「ブー」とか言うんで、「そういう音じゃない」とか笑ってるんですけど、これはね、けだし名言だと思ってパクらせていただいてるんです。勉強って絶対音がするよねと。

 いくら「解説を読んでます」って言っても、それは頭に入ってないと思うんで、常に何か動けと。自習の管理っていうのは基本的にそういうことでして、それでもさっきのチャートの「どうしても分からない」ところまで行くと「質問、聞いてあげるよ」ということになってます。

おおた いい授業を受ければ頭良くなるって思ってる保護者いますからね。

山﨑 あり得ないですよね。どんだけいい話聞いたって、動いてなかったら。

おおた 「なんか成績まだ伸びないね。じゃあもう一つオプションも付けよう」って。

山﨑 違う違う!パンクしちゃうだけだからっていう(笑)。