米連邦準備制度理事会(FRB)の対応は今のところ米銀の追い風になっていない。FRBが最近、利上げのペースをやや落とす一方、それをさらに長く続ける可能性を示唆したことは、銀行株にとっては悪材料が増えたに過ぎない。KBWナスダック銀行株指数はこの1週間で5.5%下げ、下落率がS&P500種指数の3.3%を上回った。金利上昇時に銀行の収益が高まる可能性を市場は評価していないのではないか、と投資家はいぶかるかもしれない。だが現状を踏まえると、銀行は金利上昇に関しては歓迎するよりも警戒する必要がありそうだ。新型コロナウイルスの流行初期に預金が膨れ上がった際、銀行は投資ポートフォリオとして米国債や住宅ローン担保証券(MBS)などの確定利付証券を大量に購入した。米連邦預金保険公社(FDIC)の7-9月期の統計によると、現在は金利が上昇し債券の価値が下落しているため、米銀の証券ポートフォリオには6900億ドル(約94兆3200億円)近くの含み損が出ている。
FRBの利上げ長期化、銀行株の打撃に
銀行株にとっては悪材料が増えたに過ぎない
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