岸田政権はダッチロール状態
統一地方選と日銀総裁人事が焦点

 まず国外では、2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻だ。片や国内の方は、7月8日の安倍晋三元首相銃撃事件がそれである。

 前者は、21年から続いていた世界的なインフレのアクセルを踏み込み、目下のエネルギー価格や食料価格の高騰を招いている。

 資源高騰は無論のこと、とりわけ米国におけるインフレは日本経済に甚大な影響を及ぼす。目下の日米金利差に起因する超円安の命運は、米国のインフレ対策──、利上げ動向に懸かっているからだ。

 問題は経済面にとどまらない。戦況の泥沼化によって、周知のようにロシアによる核兵器使用という第二次大戦以降、最悪の事態さえ懸念されている。

 ところが、この世界情勢の混迷に対し、日本の岸田政権はまさにダッチロール状態だ。

 安倍氏暗殺でクローズアップされたのが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自由民主党の“蜜月”関係だ。いわゆる「旧統一教会被害者救済法」が自民党と公明党など賛成多数で22年12月に成立したが、遅きに失した感は否めない。23年4月の統一地方選挙を岸田首相が乗り越えられるかどうかが、今後の政局を占う一つの焦点となる。

 安倍氏の急逝は、政治のみならず金融政策のかじ取り役、日本銀行のトップ人事にも影響を与えそうだ。22年12月現在、23年4月に任期満了を迎える黒田東彦総裁の後任者選びが最終局面にある。「リフレ派」の黒田氏が、アベノミクスの目玉として官邸主導で送り込まれてから10年。安倍氏不在の今、現在の政策を踏襲する新総裁が誕生するのかに注目が集まっている。