高インフレや株式・債券相場の急変に打ちのめされた退職者に、ちょっとした朗報がある。支出の4%ルール(あるいはそれに近いもの)が復活したのだ。老後資金を30年間維持する必要がある退職者向けのアドバイスとしてよく言われるのは、退職後1年目は支出を貯蓄の4%以内に抑え、2年目以降はインフレ率に合わせて引き出し額を増やすとよいというものだ。1年前に支出削減を推奨したモーニングスターの研究員らが推奨支出率を再び4%近くに引き上げたことは、退職を検討している人にとって、退職してもやっていけるという自信の高まりにつながる。モーニングスターのパーソナルファイナンスディレクター、クリスティーン・ベンズ氏は「意外かもしれないが、バリュエーションが高い時は退職する時期としては最悪だ」と述べた。同氏が共著者として名を連ねる昨年発表の研究論文は、2022年に退職後1年目の貯蓄引き出しを行う人は、今後の投資リターン低下を見据えて引き出し率を3.3%に維持するよう推奨していた。