中国と米国の関係はどれほど悪化しているのか? はっきり言おう。米中は競争的な負のスパイラルに陥っており、このままでは両国と世界に大きなダメージを及ぼしかねない。たとえ両国が、軍事的衝突に発展しないよう競争に(バイデン政権がよく言うように)「歯止めをかけ」たとしても、世界経済の4割を占める二つの超大国間の敵対的なやり取りは、イノベーション(技術革新)や成長に悪影響を及ぼすことになる。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の2019年でさえ、世界の成長率は過去10年で最低となっていた。その原因は、テクノロジーが戦略的競争の焦点になっていることにある。恐怖と相互疑念によって、かつては平和の強固な基盤とみなされていた相互依存性を両国が武器にし、互いに利用し合うようになっている。どちらかの国が重要なテクノロジーや素材の輸出や輸入を突然停止する恐れが出ており――両国は既にそれを始めている――、数十年にわたる有益な協力関係は一転。両国は互いの間に壁を築き、国家主義的な自給自足を追求するようになっている。両国は他国にも自陣に加わるよう圧力をかけ、大半の国が避けたがっている「二者択一」を迫っている。
米中関係の危険な負のスパイラル
過去6年、外交を通じた相違の解決に両国とも真剣な関心を示さなかった
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