エネルギーや自動車、住宅価格の下落や消費者物価指数(CPI)統計の鈍化を受けて、投資家の間ではインフレの先行きに対して高揚感のようなものが広がっている。だが、米連邦準備制度理事会(FRB)には全く関係ないようだ。FRBは14日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50ポイントの利上げを決定。あわせて公表されたジェローム・パウエル議長ら当局者による経済・金利見通しでは、痛みを伴うインフレとの長い闘いが織り込まれた。これは市場が描くシナリオとは正反対の展開だ。見通しを前回公表した9月時点では、FRB当局者は現在4.4%のフェデラルファンド(FF)金利が来年、4.6%でピークをつけるとの見方を示していた。その後11月に開催された会合では、パウエル氏は9月の見通しはすでに古く、金利をさらに引き上げる必要があるとけん制した。しかし、わずか数日後に労働省が発表した10月のCPIは予想外に大きく鈍化。株式市場は急騰し、国債利回りは低下した。今週に入り、再び衝撃が走った。11月のCPIも下振れしたためだ。
インフレ悲観論のパウエル氏、市場との溝深く
FRB当局者の見通しは、足元の良好なインフレ統計を受けて投資家が出した結論とは真っ向から対立
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