ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「マリってどんな国?」2分で学ぶ国際社会アフリカ西部

マリってどんな国?

 マリはアフリカ大陸西部に位置し、アルジェリアモーリタニアセネガルギニアコートジボワールブルキナファソニジェールに囲まれた内陸国です。

 マリの最大の輸出品は金で、輸出額全体の約3分の2を占めます。内陸国ですが、全体的に平坦な地形で、サバナ気候に当たる南部は人口も多く、稲作などの農業が見られます。

かつての黄金の都と呼ばれたトンブクトゥ

 3世紀から11世紀にガーナ王国、13世紀から16世紀にはマリ帝国とソンガイ帝国が、それぞれこの地域に栄えました。国名はマリ帝国にちなんでつけられました。

 国土のほぼ中央部に位置するトンブクトゥは、かつては遊牧民のトゥアレグ族の泊地でした。サハラ砂漠の南縁で、西アフリカ随一のニジェール川が最も北に流れるところにあり、サハラ砂漠横断の交易の中心として発達しました。マリ帝国やソンガイ帝国の時代には「黄金の都」と呼ばれ、イスラーム世界の中心地として栄えました。

 19世紀末にフランスの植民地になると、大西洋に近いバマコが首都に指定されました。綿花が栽培され、内陸デルタでは水田が開発されました。

 一方、トンブクトゥは主要交易ルートから外れ、過去の賑わいは見られず、砂漠化の影響を受けています。「黄金の都」として栄えた時代の建築物や街並みが残り、1988年にユネスコ世界遺産に登録されました。

 このほか、トンブクトゥと同じ時代に同じように交易都市として発展したジェンネにあるモスクは、泥と日干し煉瓦でつくられ、無数の丸太が突き刺さった(修理の時に登るため)外観で有名です。

「マリってどんな国?」2分で学ぶ国際社会ジェンネのモスク Photo: Adobe Stock

マリ共和国

面積:124.0万km2 首都:バマコ
人口:2013.8万 通貨:CFAフラン
言語:フランス語(公用語)、バンバラ語などの民族語
宗教:イスラーム93.9%
隣接:アルジェリアモーリタニアセネガルギニアコートジボワールブルキナファソニジェール

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)