投資家は「米連邦準備制度理事会(FRB)とは戦うな」という警句をよく耳にするが、日本では正反対のことが起きた。マーケットは日銀と戦い、そして勝利したのだ。日銀が20日に10年物国債利回りの許容変動幅を0.25%から0.5%に拡大すると、影響は世界に波及した。日銀によって抑えられていた利回りは急上昇し、他の先進国の国債や債券の利回りを押し上げた。円は3%余り上昇し、上げ幅は一時2009年以来の大きさとなったが、その後やや押し戻された。日本の株式は売られた。ここで重要な点が二つある。まず、日銀が「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」と呼ぶ、ますます非現実的になっていた政策からの脱却に着手したにもかかわらず、少なくとも今のところは市場に大混乱が起きていないことだ。