では、働く人々から見て、フード業界はどのようなイメージを持たれているのでしょうか。

「ジョブズリサーチセンター」では2022年、「飲食業での働き方の実態・イメージ調査」を実施しました。対象は、飲食業で現在就業している「就業者」、過去に就業経験がある「離職者」、飲食業での就業経験はないが就業に興味関心はある「意向者」、飲食業での就業経験がなく就業に興味関心もない「非意向者」です。

 ポジティブなイメージとしては、「多くの人と交流できる」「人から感謝される」「仕事にやりがいがある」「未経験でも仕事ができる」など。一方、「体力的にきつい仕事が多い」「給与水準が低め」「新型コロナウイルスで経営が影響を受けやすい」といったネガティブなイメージも持たれています。

 就業者が辞めたいと思った理由・離職者の離職理由では、「給与」や「労働負荷」に関する項目が上位に挙がっています。

人材不足・労働負荷の改善に
成功している企業も

 このように人材確保に苦戦するフード企業が多い中、成功事例も生まれています。フード業界に限らず、人材不足や労働負荷の解消・改善のヒントになる事例をご紹介しましょう。

【ケース1】特定の時間帯の人手不足を改善
コンパスグループ・ジャパン株式会社

 社員食堂・教育関連施設・病院・高齢者施設・などを対象としたコントラクトフードサービス企業、コンパスグループ・ジャパンの成功のポイントは「業務の切り出し」です。

<課題>

 給食事業における調理補助で、アルバイト従業員の約 9 割は40~50 代女性。特に夕方&早朝の時間帯の人員が不足。

<改善策>

 夕方の時間帯の人数確保のため、調理工程の中で「包丁を使用しない調理」「盛り付け」「配膳」などの業務を切り出し、大学生にも向けて募集。学生の4時限終了(16:30)に合わせて「17時からの勤務可」とし、「少人数・接客なし」という働きやすさを訴求。

<成果>

 2週間の募集で55人応募。うち約7割が10~20 代。このほか、早朝の時間の業務も切り出し、「シニア層」を採用ターゲットとして募集。「朝の時間の有効活用」「身体にも良い」「同年代が活躍中」といった魅力を打ち出し、応募数が3倍に増加した。

 コンパスグループ・ジャパンの事例から、取り組みのポイントをまとめてみましょう。

●人手不足の要因を構造分解

 業務について、「いつ」「どのような内容」「実行するために必要なスキル」「必要な人数」などのニーズを可視化。このとき、「頭数」ではなく「時間単位」で捉える

●繁閑差に着目。超短時間勤務(=プチ勤務)も活用

 曜日・時間帯ごとの人員配置ニーズに従ってシフトを募り、必要に応じて「超短時間勤務」の仕事を作る。