妻の雪乃さん(32歳)を何度か詰問、叱責しても、改善されるどころかエスカレートする一方で、海斗くんの体調と家の状況は悪化していきました。

 室岡さんが在宅している時は、妻に代わって海斗くんの食事を作ったり家事をこなしたりしていましたが、その間妻は自室に閉じこもり顔を合わせることもなくなりました。

 雪乃さんが昼も夜も外出することが多くなり、先週はついに1泊でしたが無断外泊したことを海斗くんから聞きました。そのことを雪乃さんに問い詰めても一言もしゃべらず、自室に閉じこもって全く取り付く島がありません。このような雪乃さんの異常とも思える行動の裏には不貞があるのではないかとにらみ、行動調査をしてほしいという依頼内容でした。

倉科カナさん似の妻
徒歩尾行しようとしたら思わぬ事態に

 室岡さんは翌日から出張に出かけるとのことで、雪乃さんが動くことが考えられるため早速調査の準備に取り掛かりました。

 翌日の朝7時から、自宅の玄関が監視できる場所でパートナーと張り込みを開始しました。駅前のため車を止めておける場所がなく、徒歩での張り込みとなりました。7時16分に室岡さんが、その5分後に海斗くんが出かけるのを確認しました。雪乃さんが出かけるタイミングは全く分からず、出かけない可能性も十分にあるため長時間の立ち張りを覚悟していました。季節は7月半ばで、まだ涼しい朝の時間帯でも蚊が容赦なく襲ってきて、虫よけスプレーとかゆみ止めを準備していなかったことを後悔しました。

 しかし、意外にもその数分後に、雪乃さんが玄関から出てきました。写真では見ていましたが、倉科カナさん似の美貌に度肝を抜かれました。そして、その直後に想定外の事態が起こったのです。室岡さんからは最寄り駅から電車に乗るであろうと伺っていたので、徒歩での尾行を想定していましたが、雪乃さんは電動自転車にまたがったのです。これは全く想定しておらず、準備運動もないまま全速疾走での尾行開始となったのです。

 雪乃さんの自転車は大きな道路を越えるため信号で停止したり、人通りの多いアーケードのある商店街を通ったりしたため、なんとか見失わずに尾行することができました。信号停止による多少の小休止はありましたが、走り尾行が十数分経過したあたりで体力の限界が近づき、もうここまでかと思ったその直後、雪乃さんの自転車は止まりました。商店街の一角にあるマンション前の駐輪場に自転車をとめて、雪乃さんはそのマンションに入っていきました。