◇僕を成長させたワールドカップ

 南アフリカ、ブラジル、ロシア。本書執筆時点で、僕は3度のワールドカップを経験した。ワールドカップは、毎回、確実に、僕の人生を変えた。

 1度目の南アフリカ大会は23歳のとき。右も左もわからなかったが、がむしゃらなプレーが評価され、海外移籍につながった。

 2度目のブラジル大会は大きな自信を持って臨んだが、あえなく挫折。大会後、「サッカーが楽しくない」という感情を初めて経験することとなった。

 そして3度目のロシア大会。ベルギー代表に逆転負けし、自分の中に火がついた。

 ワールドカップは独特だ。ピッチに立つたび、自分自身から「お前はこの試練を乗り越えられるのか?」と問いかけられる。だが、その重圧を乗り越えれば確実に成長できる。成功は約束されていないけど、成長は約束されている――それがワールドカップなのだ。

 トップオブトップスたちとの勝負である以上、いくら考え、悩み、汗をかき、心身をいじめ抜いても、うまくいくとは限らない。むしろ報われない可能性のほうが高いくらいだ。でも、考え、悩み、汗をかき、心身をいじめ抜いた経験は、必ず糧になる。

 だから、ワールドカップを目指すことはやめられない。今、僕は4度目のワールドカップに向けて走り続けている。

◇批判やミスがあるから成長できる

 いいプレーをし、光を与える存在になるためには、批判や重圧を自分の糧にする必要がある――そう考えるようになったのは、海外に移籍してからだ。

 インテル時代は、大きな賞賛と大きな批判、どちらも経験した。いいプレーをすれば神様のように扱われ、敗戦に直結するプレーをすれば叩かれる。負けた翌日はミラノの街を歩くのが怖かったほどだ。

 そうした日々を過ごすうちに、批判や重圧とうまく付き合えるようになってきた。批判を受けたり、ミスをしてしまったりした後、前へ進むために重要なことは、まず「HOW」(どうやって)を見つけることだ。