大学生の就職人気ナンバーワンの伊藤忠商事だが、岡藤正広会長が就活生や社員たちに最も求める「伊藤忠パーソン」としての資質はどういうものなのか。昨年12月に『伊藤忠 財閥系を超えた最強商人』を上梓した野地秩嘉氏が、岡藤会長に話を聞いた。
就活生や社員たちに望む
伊藤忠パーソンに必要な資質
――伊藤忠商事は近年、大学生の就職先として非常に人気が高まっていますが、岡藤会長が社員に求める資質はどういったものでしょうか。
当社は「商事」会社ですから、まずは商売が好きな人がいい。「商売は嫌い」とか「銭もうけなんかなんぼのもんか」と思っているような「お高くとまった人」ではダメでしょう。
それと「寄らば大樹の陰」で、大きな企業に入って安心し、偉そうにしたいと思う人も困ります。商人に徹して、商売が好きで、腰を低くしてやっていく。そうした姿勢とハングリー精神のある社員でいてほしいと思います。
偉そうにするのはダメですけど、「会社を大きくしたいし、自分もそこで出世したい」野望を持つのは間違いではありません。出世することによって、自分の考え方を会社の経営に反映し、会社を良くしていくことができるのだから。入社した人にはそんな夢を持ってもらい、実現していってほしいと思います。
――「商社マン」というよりも「商人」であるべきだと?
僕が「商人」にこだわる理由は、お客さんを大事にすることを忘れてもらっては困るからです。自分がもうかり、そして相手ももうからないと、ビジネスは長続きしない。自分さえもうかればいいではダメ。だからといって、お人よしでもダメなんです。なかには「えげつない客」もいますからね。