銀行・信金・信組 最後の審判 #12Photo:JIJI

この1年強、地方銀行業界は統合ラッシュに沸いている。愛知銀行と中京銀行、ふくおかフィナンシャルグループと福岡中央銀行、横浜銀行と神奈川銀行……。中でも「1県1グループ化」パターンは、地銀再編の新たな潮流となりそうだ。特集『銀行・信金・信組 最後の審判』(全16回)の#12では、最近の統合事例から読み解ける次の再編の“目玉案件”や、ここへきて地銀が合従連衡に必死にならざるを得ない理由を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

福井県、福岡県、神奈川県で立て続けに
「1県1グループ化」パターンの再編が登場

「同一県内の地方銀行同士でも、合併せずにお互いの看板を残す『2ブランド戦略』を取るというのは面白い。地銀業界を救う発想かもしれない」

 ある大手地銀幹部は、自らの再編の可能性を言外ににおわせるようにそう語る。かつては「同一県内の地銀とは、向こうから頼み込まれない限り絶対に統合しない。統合しても『のみ込む側』のこちらにメリットが見いだせない」と断言していたものだ。だが最近起こった新たな再編パターンを見て、心境に変化が生じているようである。

 具体的に視線の先にあるのは、福井銀行や横浜銀行(神奈川県)が取った再編パターンだ。それぞれ県下の第二地銀の子会社化を決めたものの、「合併はしない」と断言しており、二つの銀行ブランドを残す「1県1グループ化」の合従連衡策を推し進めている。

 これまで、同じ都道府県内の地銀が再編に進む場合は、効率化を図りやすい合併がセオリーとされてきた。にもかかわらず、セオリー外の再編がここにきて「アリ」だといわれているのはなぜなのか。

 次ページではその理由を探るとともに、今後の“目玉”とささやかれる地銀の再編候補、そして再編のトリガーになり得る事象について追った。