この言葉を使えば「おせっかい」になるのも防げる

 クッション言葉はいろいろな場面で役立ちます。例えばアドバイスをする時です。

 自分が詳しい分野の話題になると、頼まれてもいないのについアドバイスをしたくなることはないでしょうか。私はおせっかい気質なので、つい口を出したくなった時は「そのアドバイスを本当に相手は求めているだろうか」と自問することで、自分の意見を押し付けないようにしています。

【元JALのCAが伝授】角を立てずに「言いにくいこと」を伝えられる3つの言葉七條千恵美(しちじょう・ちえみ)  元JAL CA。際立った影響力を持つ客室乗務員として「Dream Skyward 優秀賞」を受賞、取締役から表彰を受ける。また、TOP VIPフライトの中でも最上級ハンドリングのフライトである皇室チャーターフライトのメンバーに抜擢された経験を持つ。2010年から2年間は教官として訓練生を指導。会社評価Sを獲得。マインドの授業に定評あり。2013年JAL を退職後、人材育成コンサルタント/ 研修講師/ビジネス書作家として活動。パナソニック、コーセー、ポーラなどの大手企業から中小企業、商工会、教育機関など多岐にわたり講演や研修を行っている。著書に『「気がきく人」が大事にしている、ちょっとしたこと』(Clover出版)、『礼節を磨くとなぜ人が集まるのか』(青春出版社)、『接客1年生』(ダイヤモンド社)、『ザ・チームワーク』(アルファポリス)、『接客の一流、二流、三流』(明日香出版社)、『人生を決める「ありがとう」と「すみません」の使い分け』(アルファポリス)。公式サイト:https://glitterstage.com

 そして、私の周りのアドバイスが上手な人に共通するのは、次のような「クッション言葉」を使っていることです。

・「ご存じかもしれませんが」
・「もう解決しているかもしれませんが」
・「出過ぎたまねをして申し訳ございませんが」

 こうした一言があることで、「あくまでも情報として提供しますが、採用するかどうかはあなたが決めてくださいね」「押し付ける気はありません」というメッセージも一緒に届けることができます。

 また、アドバイスが相手の求めているものと違った場合、ノーと言いやすくするために

・「もしお役に立つようでしたら」
・「他にもいい方法があるかもしれませんが」

 というクッション言葉があれば、アドバイスを受け入れないことに罪悪感や後ろめたさを生じさせずに逃げ道を作ってあげることができます。

 アドバイスに関すること以外では、「お誘い」する時にも使えます。

・「○月○日、食事会を予定しています。お会いできればうれしいですが、お忙しいのは十分承知しておりますので、無理のないようにしてくださいね」
・「ご多忙なのでお誘いしていいか迷いましたが、せっかくなのでお声だけでもかけたいと思ってご連絡しました。奇跡的にご都合があえばぜひ!」

 このように誘う時に「ノー」と言いやすい余白も与えてくれると、もし参加できない場合でも「相手はこちらの事情を理解してくれている」という安心感があり、罪悪感なく不参加の連絡をすることができます。

 つまり、クッション言葉を加えることで、「あなたの選択を尊重する」という意図も伝えることができるというわけです。気がきく人は、さまざまなシーンで、こうしたひと手間、ひとことを大切にし、それによって相手とのコミュニケーションを円滑にしているのです。