主力のソフトウェア品質保証事業で独壇場を築き、急成長を続けるSHIFT。キーエンスの元社長が経営に参画するなど、話題にも事欠かない。特集『今こそチャンス!日米テンバガー投資術』(全16回)の#12では、そんな同社創業者の丹下大社長にインタビューし、市場が注目する中期目標の売上高1000億円「前倒し達成」の確度などを直撃。すると驚きの「10倍株&時価総額10兆円」構想が飛び出した。仮想敵を「アクセンチュアや野村総研」 と明かす理由とは?(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
キーエンス元社長が幹部入り
創業者が語った壮大な野望
あのキーエンスの元社長が幹部入りだと――。ソフトウェア品質保証が主力のSHIFTが新人事を明らかにした2020年10月、市場は色めき立った。
圧倒的な営業力を武器とする超高収益企業キーエンス出身の佐々木道夫氏が、副社長に就任するとの発表。直前の好決算と併せて一段と期待が高まり、その日のSHIFT株は一時前日比19%高まで高騰した。
主力事業が国内で独壇場を築いており、以降も高収益が持続中だ。上場した14年の本決算と比べた今期予想売上高は約30倍、株価は過去5年で約20倍になるなど、急成長ぶりが際立っている。
SHIFTは05年設立。製造業向けコンサルティングを行っていた丹下大氏がその知見を生かし、ソフトウェアなどのテストのプロセスを、ITの力で効率的に行う仕組みの構築を実現。ソフトウェア品質保証という新市場を開拓した。
成長に合わせて従業員数も急増中だ。21年は千数百人を採用し、昨年11月時点で連結7420人となった。架空の企業のサイトがきちんと機能するか、手順書に沿って確認する独自開発の「CAT検定」で適性を審査。合格すれば職歴に関係なく即採用という、ユニークな採用手法を取る。年間約3万人の応募者に対し、合格率はわずか6%だが、IT業界以外の未経験者が約3割を占めるのも特徴的だ。
さらに22年1月には、冒頭の佐々木氏の後任社長候補だったという元キーエンス取締役の木村剛氏も、SHIFT執行役員として入社を果たし、にわかに話題となった。
勢いに乗るSHIFTだが、丹下社長が見据える世界は、まだまだ果てしないようだ。次ページでは、市場が目先で注目する25年の売上高1000億円目標について、前倒し達成の確度を直撃。語られたのは、その先に見据える売上高5000億円・時価総額3兆円目標、さらに時価総額10兆円という壮大な野望だった――。
この未来像を見据えると、現在直接競合こそしていないものの、野村総合研究所やアクセンチュアなどの大手ITコンサル企業が「仮想敵」になると回答。以降、SHIFTを「進化型システムインテグレーター(SI)」に変貌させたいと意気込む丹下社長の約5000字にわたるロングインタビューをお届けしていこう。
――2025年に売上高を1000億円規模に拡大する中期成長戦略「SHIFT1000」を掲げています。市場では、急成長を受けて前倒し達成への期待も高まっていますが、確度をどう考えていますか。