FFGが主体となった
デジタルプラットフォーム構想

 FFGは、店舗を持たない“スマホ専業銀行”である「みんなの銀行」を立ち上げるなど、国内銀行業界におけるデジタル先進企業として知られる。デジタル化支援コンサルティングを始めるに当たっても、「当時、頭取兼社長だった柴戸(隆成・現会長)から大きなバックアップがありました」(河﨑氏)という。

 トップ肝いりでもあるこの事業をさらに発展させていく上で、目下の最大の課題は、支援ニーズの大きさに対して、支援を実行する人材が圧倒的に不足していることだ。そこで河﨑氏が構想しているのが、支店の若手行員の戦力化だ。「営業店の若手が間接業務のデジタル化を支援できるようにリスキリングを強化するとともに、これまでの支援実績で蓄積したノウハウをマニュアルとして整備していきたい」と、河﨑氏は考えている。それができれば、支援先を大きく増やせるし、有能な若手を本部に登用し、デジタル化支援コンサルタントの陣容を広げられる。

 本部のコンサルタントについては、中小企業診断士や高度情報処理技術者などの資格取得を含めて知識とスキルを一段と磨き上げ、上級コンサルタントとして先述の3層(「デジタルを活用した付加価値創造を目指したい」)のニーズに応えられるようにしていく考えだ。

 一方で、2層(「業種別業務がシステム化されていない」)の支援を手がける中で、流通業や製造業といった業種ごとの基幹業務システムに関する知見もたまってきた。将来的には、業種・業態のベストプラクティスをシステム化し、クラウド経由で提供できる環境の構築を目指している。具体的には、神奈川県鶴巻温泉の老舗旅館「陣屋」が、Salesforce(セールスフォース)を基盤に開発したクラウド型ホテル・旅館管理システム「陣屋コネクト」のイメージだ。陣屋はこのシステムを活用することで、自社の業績を劇的に回復させただけでなく、中小ホテル・旅館向けの基幹業務システムとして陣屋コネクトを外販し、生産性向上を支援している。

 こうしたベストプラクティスが盛り込まれた業種別の基幹業務システムと間接業務システムを共通のクラウド基盤上にラインアップし、利用履歴データを分析しながら常にアップデートしていくデジタルプラットフォームの構築。「それを実現することで、地域企業のDX推進を幅広く支援すると同時に、業種を超えた連携によって新たな付加価値を創出するエコシステムへと発展させていきたいと思っています」(河﨑氏)。FFGのデジタル化支援コンサルティングの先には、銀行そのもののビジネスモデル変革が視野に入っている。

地銀の雄「ふくおかFG」が、中小企業のデジタル化コンサルに本腰を入れる訳(左から)ふくおかフィナンシャルグループ営業統括部部長の河﨑幸徳氏、同営業統括部の曽我周平氏、福岡銀行営業統括部の村上渉氏