ダイヤモンド・オンラインの会員を対象に、今年(2022年)10月5日、「自社のDX推進」に関するアンケートを実施した。本稿では、その集計結果を分析し、経済産業省の『DXレポート2』(デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会、2020年12月28日)での提言等を踏まえて、DXの現状について考察していく。アンケートの概要は、本稿の最後にまとめたので、参照していただきたい。(ダイヤモンド社 ヴァーティカルメディア編集部 編集長 大坪亮)
DX格差が広がり始めた
アンケート設問の項目ごとに、最初に全体結果を、次に企業規模による違いについて言及していく。企業規模については、従業員数により、中小企業、中堅企業、大企業の3種類に分け、各設問とクロス分析した*。
最初に、本稿のサマリーを提示したい。2年前の経済産業省の『DXレポート2』で分析されていた状況に比較すると、今回の調査からは、日本企業のDXは全般的には進んできているようだ。
ただし、企業規模により差がついており、中小企業では、DXに向けた経営意識も取り組みも、積極的ではない。推進に必要な人材や資金の準備も不十分である。
一方で、DXが進む企業では、DXに必要な知見を持った人材をヘッドハンティングで獲得するなどして、「生産性の向上」や「従業員満足の向上」などの経営効果を得ている。
以下、項目ごとのアンケート結果の分析と考察を提示していこう。
1.DXの進展
「デジタル化の段階」の定義は、一般に浸透・確定しているわけではないので、言葉の解釈は回答者によって異なるという限界はあるが、『DXレポート2』での定義を目安として考えている(図1)。
「自社のデジタル化は、現在どの段階か」という設問について、全体集計では、「全く進んでいない」19.94%、「デジタイゼーション段階」39.55%、「デジタライゼーション段階」22.51%、DX段階16.08%、という結果だった(図2)。