〈……全国連立及び多世帯住宅、地下層の2022年平均ジョンセ保証金は1億1666万4823ウォンで、2017年7443万1288ウォンから56.7%上昇した。地下層も、ジョンセ保証金1億ウォン台に入った。地下層の平均ジョンセ保証金が1億ウォンを超えたのは2021年(1億315万9936ウォン)からだ。今年ソウルの半地下平均ジョンセ保証金は1億4801万8812ウォンに達した。多世代連立住宅地下層の保証金が1億ウォンを超えた状況だから、地上に上がるのはさらに難しくなっている〉
(「京郷日報」/2022年10月5日)

 借りる(ジョンセ)といっても、同じソウルでも都心部と郊外では天地の差があります。いわば「どこに住んでいるのか」が大きいという側面もあります。また、広ければいいわけでもないし、高ければいいというわけでもないでしょう。ただ、さすがに「法律的に家ではないところに人が住んでいて、しかも、担当省庁は家ではないという理由で集計すらしないでいる」というのは、問題があるでしょう。

 映画『パラサイト』で、その映画を作った人が半地下で暮らしたことがあるのかは分かりませんが、苦しい生活をする人たちの舞台設定とされ、外国メディアからも「こんな部屋は実在する」と驚いたりした半地下部屋が、「高くて住めない」存在になりつつあるわけです。

韓国の「生活保護受給者」は
リアルで働いたら負け

 2015年の統計庁の調査では、最低住居基準未達世帯(ジオッコだけでなく他のものまで全て含めたもの)は全国に156万752世帯(全体世帯数の8.2%)となっています。しかし、2016年の国土交通部の調査では、103万世帯(全体世帯数の5.4%)と集計されています。ちなみに、国土交通部のほうが担当部署になります。

 なぜ3分の1も減ったのかというと、国土交通部は考試院などを「住宅ではない」という理由で、調査対象にしていないからです(「ハンギョレ新聞」/2017年9月17日)。こんな現状だから、明確な改善策が打ち出せるわけもなく。

 こんななか、20代、30代の「基礎受給者」(日本でいう生活保護者のようなもので、「国民生活保障法」によるいくつかの種類の扶助を受けている人たち)が急増しているのは、当たり前だと言えるでしょう。

 韓国の20代、30代の基礎受給者は、KBS(2022年12月29日)の報道によると、2022年8月基準で24万5000人です。これは、5年前とくらべて1.7倍になった数値です。他の案件と同じく、急に増えることが、もっとも問題だと言えるでしょう。

 各国、制度の趣旨は同じでも、制度そのものが同じではないので、単純比較は難しいでしょうけど、日本の場合、令和2年時点で20代・30代の生活保護受給者は約14万9000人だそうです。24万5000人だと、人口比で考えると、日本の4倍以上ということになります。