また、ハーモン=ジョーンズは、写真を見ているときの脳波をEEGという機械で調べてみたのですが、すでに見た顔がもう一度出てくると、頬の筋肉が活動することもわかりました。私たちは、すでに知っている顔を見ると、自然に「微笑んでしまう」のです。

 私たちは、見慣れた顔には、親しみや好ましさを感じます。この原理は、「熟知性の法則」とも呼ばれています。これは、会話が苦手な人でも大丈夫。顔を見せることが大切なのであって、何もおしゃべりしなくてもいいのです。もっと言えば、相手の視界に入るところにいるようにするだけで、魅力は高くなります。「あの人、最近よく見かけるよね」と相手に認識されるようになったとしたら、それはもう好意を感じてもらえている、ということです。

 この熟知性の法則に基づけば、初回はどうしても不利です。したがって、初対面で好印象を与えようという淡い期待は捨ててください。

 初対面のときには、おそらくだれでも見た目で相手のことを判断してしまうでしょう。見た目くらいしか、判断するための手がかりがないからです。ところが、2回、3回と会う回数を増やしていけば、少しずつ共通の趣味ですとか、見た目以外のことを相手に知ってもらうことができます。

 そして、その人の人柄や性格など、見た目以外のところで好ましく評価してもらえれば、外見までよく見えてしまうのです。「なんだか、この人っていいよな」と相手から感じさせる人は、なぜか見た目もかわいらしいと思ってもらえるのです。こういう現象のことを心理学では「ハロー効果」と呼んでいます。

 みなさんの職場にも、外見はイマイチなのに、なぜか男性からも女性からも好かれるという人はいませんか。もしそうなら、きっとその人は非常に好ましい性格をしているのでしょう。

 どんな人にも、明るい声で自分から挨拶し、困っている人がいたら率先して手助けをしてあげてください。そういうところでイメージアップを図っておけば、見た目のほうもポジティブな方向で見てもらえます。いや、「見た目もいい」とさえ思ってもらえるはずです。