
日本の経営者の報酬が低いと指摘されて久しい。それでも、実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。成果に見合った報酬を受け取ることは当然といえよう。ただし、大事なのは納得感だ。業績や株価が振るわなければ株主は不満を持つだろうし、なにより従業員の士気が下がる。そこで、今回はサービス業界の1億円以上もらう役員と従業員の年収格差ランキングを作成。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!?「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング』(全24回)の#4では、サービス業界の年収1億円以上の経営幹部と一般社員の年収格差の実態を調査、実名ランキングで58人を検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
リクルート、楽天、電通を比較してみると…
トップと従業員年収の格差に明暗!
従業員と経営幹部の年収がどれくらい離れているのかを倍率で示すとする。その場合、リクルートホールディングス(HD)、楽天グループ、電通グループの3社で比較すると、どれくらいの違いがあるのだろうか。
実は、その3社の中で1社だけ、ずばぬけて倍率が高い。つまり、経営陣と従業員の格差が大きいのだ。
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。その経営幹部である人物の年収と従業員の平均年収を比較し、何倍の開きがあるかでランキングを作成した。数字が大きくランキングの上位にいるほど、従業員の待遇との格差が大きいことになる。
また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかどうかの判断の参考にしてほしい。今回対象としたのはサービス業界だ。
では、サービス業界で「年収1億円以上」の経営幹部で、従業員の年収と格差が大きいのは誰なのか?トップはリクルートHDの出木場久征社長で9.17億円を受け取り、倍率は81.93倍となっている。一方、楽天グループの三木谷浩史会長・社長は従業員の何倍の年収をもらっているのだろうか。冒頭の問い掛けの、楽天グループや電通グループとの比較の答えは後述していこう。
また、近年、日本ではコンサルティング会社の年収はうなぎ上りだが、和製コンサルの代表格であるベイカレントやシグマクシス・ホールディングス(HD)はサービス業界に分類されている。それらの会社では幹部と従業員の年収の格差はいかほどだろうか。
意外だったのが、平均年収が上場企業として日本1位になったこともあるM&Aキャピタルパートナーズの倍率が、異様に低いことだ。
リクルートHD、リゾートトラスト、共立メンテナンス、日本管財ホールディングス、ツカダ・グローバルホールディング、ベイカレント、ディップ、テイクアンドギヴ・ニーズ、パソナグループ、タカミヤ、セプテーニ・ホールディングス、キャリアデザインセンター、ユー・エス・エス、楽天グループ、シグマクシス・HD、ベクトル、IBJ、電通グループといった企業の幹部たちの年収は幾らで、従業員の何倍をもらっているのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。