メインとなる隊庁舎は、沖縄独特の赤瓦屋根で、「基地」というよりは大きめの公共施設という印象を受ける。

 駐屯地周辺には、不思議と「駐屯地反対!」といった看板はなく、「自衛隊、ありがとう」と書かれたのぼりが目立っていた(冒頭写真)。

 以前、与那国島の駐屯地取材では、写真を撮ろうとして自衛隊員に厳しく制止されたものだが、正面ゲートで写真を撮っても何の反応もなかった。設置早々、余計なあつれきは避けたいとの思いからだろうか。

石垣島にできた陸上自衛隊駐屯地石垣島にできた陸上自衛隊駐屯地

 駐屯地開設の狙いは言うまでもなく、中国の台湾侵攻を視野に、先島諸島の防衛力を強化するためだ。

 2016年の与那国島を皮切りに、2019年には宮古島や奄美大島と続いた自衛隊の「南西シフト」は、石垣島駐屯地の開設によって、中国に対するファイヤーウオール(防火壁)として、さらに「完成形」へと近づいたことになる。