習近平国家主席Photo:Anadolu Agency/gettyimages

反撃能力保有など「安保三文書」決定
必要な中国の軍拡への対応

「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有や5年間の防衛費総額を従来計画の1.5倍以上の43兆円にすることなどを明記した安全保障三文書が、昨年12月に閣議決定された。

 防衛費増額の財源は、実施時期は明示しないまま所得税や法人税などの増税で一部を賄うほか、剰余金の活用、歳出削減、さらに特別会計からの繰り入れ、国有財産売却による「防衛力強化資金」で確保するという。

 野党だけでなく自民党内でも、これまでの防衛政策の基本の「専守防衛」が変質する懸念や短期間での議論で増税決定には異論や批判が強い。

 だが忘れてならないのは、新たな国家安全保障戦略や防衛費増強の眼目は、台頭し、果てしなく軍拡を続ける中国への対応であることだ。

「3期目」の続投を決めた習近平国家主席の“専制独裁化”が進むなか、習氏の「判断ミス」を誰も指摘できず止められない状況から、「台湾有事」は起こり得るからだ。

 独裁者の誤った判断から戦火が拡大した事例は歴史上、何度もあった。直近のウクライナへの「プーチンの戦争」を見ても、日本には現実を直視した安全保障戦略と防衛力が必要なのだ。