儲かる農業 下剋上#16写真提供=くしまアオイファーム

ダイヤモンド編集部の恒例企画「レジェンド農家ベスト22」で14位に選出されたくしまアオイファームは、サツマイモ輸出量のシェアで日本一を誇る。社歴が浅く創業者は52歳。それにもかかわらず、早々と後継者を選ぶ総選挙を実施したという変わり種ベンチャーだ。特集『儲かる農業 下剋上 ピンチをチャンスに』の#16では、早期で後継者選抜に至った理由に迫るとともに、成長をけん引する海外事業の稼ぐ秘密を解き明かしていこう。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

創業から10年余りで売上高40倍!
驚異の成長率を上げる農業ベンチャーの秘密

 宮崎県南部の県境にある串間市に、大胆不敵な農業ベンチャーがある。ダイヤモンド編集部の恒例企画「レジェンド農家ベスト22」で14位に選出されたくしまアオイファームは、サツマイモ輸出量のシェアで日本一を誇る(レジェンド農家の詳細については、本特集の#6『「レジェンド農家」ランキング2023【ベスト22】上位陣のコメ生産コストは全国平均の3分の1!』参照)。

 くしまアオイファームの創業者で会長の池田誠氏(52歳)は40歳の頃に一念発起して創業し、43歳になった2013年に会社を設立した。

 19年6月期に5.8億円だった年商は22年6月期に19.2億円まで3倍に増えた。創業時のから10年余りで売上高が40倍弱に達するという驚異の成長率を実現している。

 ただし、驚くべき点は売り上げ規模の拡大スピードばかりにあるではない。くしまアオイファームの社歴はまだ浅く、企業の成長ステージはまだこれからという若いベンチャーである。

 それにもかかわらず、池田氏は早々と「後継者」を決めてしまったのだ。しかも、その選抜方法は社員やスタッフが参加する総選挙という極めて民主的なやり方だった。

 次ページでは、池田氏が早期に後継者を選抜した理由に迫る。そこには、池田氏の切実な思いが隠されていた。また、くしまアオイファームの成長率をけん引する「海外攻略」の秘密を解き明かしていこう。