儲かる農業 下剋上#6Photo:artpartner-images/gettyimages,写真提供=舞台ファーム

ダイヤモンド編集部は、規模と収益性で際立った経営を実現している「レジェンド農家」を今年も発表する。肥料などの値上がりで始まった農家の“大淘汰時代”は、裏を返せば、成長する農家がシェアを拡大するチャンスでもある。特集『儲かる農業 下剋上 ピンチをチャンスに』の#6では、危機を商機に変える農家の経営戦略を解き明かす。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

コメ輸出、国産小麦の取りまとめなど
農協の役割はすでに豪農が代替

 農家の廃業が相次ぐ中で、「増収増益」「過去最高益」の業績をたたき出す農業法人が意外にも多い。

 ダイヤモンド編集部の恒例企画「レジェンド農家ベスト22」は、「担い手農家アンケート」の回答者の経営データを、事業規模や成長性などの観点からポイントを付与して格付けしたものだ。

 ランクインした農家は、大淘汰時代に備えて投資を行ってきた。レジェンド農家にとって逆境はむしろ「シェアを高めるチャンス」なのだ。

 レジェンド農家1位に輝いた宮城県の舞台グループ(舞台ファームなど)は、2022年に総投資費34億円をかけて、国内最大級のグリーンリーフ工場を稼働させた。

 自社生産だけではなく、他の農家からの集荷や販売にも力を入れる。同野菜工場がある宮城県美里町の農家らに呼び掛けてコメ輸出のプロジェクトを立ち上げ、23年は230トンを香港の「おむすび屋」向けに輸出した。農家を組織化して海外に打って出る、農協のような機能を果たしているのだ。

 東北の“豪農”として認知されたこともあって、学生からの就職希望が増えており、岩手大学や立命館大学などの卒業生が新卒、第二新卒で入社しているという。

 次ページでは、「レジェンド農家ベスト22」を大公開する。今年のレジェンド農家の傾向や、ランクインした農家の生き残り戦略を見ていこう。