ダイヤモンド編集部の恒例企画「レジェンド農家ベスト22」で3位に選出されたさかうえ(鹿児島県志布志市)には、新しいビジネスモデルを切り開く“嗅覚”を持つ名物経営者がいる。特集『儲かる農業 下剋上 ピンチをチャンスに』の#18では、わずか3年で大胆な業態転換を実現した坂上隆氏に、門外不出の成功の秘密を開陳してもらった。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)
さかうえ流「カメレオン業態転換」
ケールから
農業界のカメレオン企業──。青汁の原料となる「ケール」の生産主体から大胆な業態転換に成功した農家がある。
鹿児島県志布志市に本拠を構える「さかうえ」は、有力農家が選ぶ「レジェンド農家」の常連組だ(レジェンド農家の詳細については、本特集の#6『「レジェンド農家」ランキング2023【ベスト22】上位陣のコメ生産コストは全国平均の3分の1!』参照)。今年は見事3位にランクインした。
さかうえ代表取締役の坂上隆氏は新しいビジネスモデルを切り開く“嗅覚”を持つ名物経営者だ。
多くの農家が肥料費や資材費、エネルギーコストの高騰で業績悪化に苦しんでいる中、さかうえは2019年6月期に5.8億円だった売上高を22年6月期に10.7億円へ倍増させることができた。
有力農家が企業規模を拡大させる場合、一般的な方法は二つある。一つ目は、従来から栽培している農作物の中から儲かるアイテムを絞って、少品目の農作物を効率良く作り利益を最大化するという方法。二つ目は、儲かる農作物を多角化することで規模・利益ともに最大化させるというアプローチだ。
だが、さかうえの方法は全く異なる。世の中の流れと顧客のニーズを先読みし、大胆に業態転換を実施することで会社の成長軌道を維持しているのだ。
次ページでは、坂上氏がわずか3年で業態転換を成し遂げることができた「門外不出の秘密」を解き明かす。