儲かる農業 下剋上#14Photo by Hirobumi Senbongi

農水省で、改革機運の後退や若手のモチベーション低下が起きている。元凶となっているのがJAグループへの天下りの復活だ。特集『儲かる農業 下剋上 ピンチをチャンスに』の#14では、農水省の元幹部らによる再就職の実態を暴くとともに、次期事務次官の本命候補の命運に迫る。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

天下り根絶宣言の自戒を破ったのは
保守本流といわれた大物事務次官!

 改革機運が後退した農水省の官僚が目にすれば、背筋が伸びそうな高潔な文章が農水省の文書にある。

「幹部職員がJA全農の役員に就職する、いわゆる天下りは今後とも行わないことをこの際明言する」

 これは2005年に農水省がまとめた全農改革の文書の一節だ。

 全農には、独占禁止法の適用を除外されるなどの既得権益がある。その全農に天下りをすれば、癒着を疑われても仕方がない。「農水省が全農に改革を求めるなら持ちつ持たれつの関係を清算するべきだ」という考えの下、天下り根絶を自ら宣言したのだ。

 ところが、である。宣言から18年たったいま、JAグループは農水省の“天下り天国”に逆戻りしてしまっている。少なくない天下りポストが次々と復活しているのだ。

 次ページでは、農水省の改革機運を後退させている元幹部職員らによるJAグループなどへの再就職の実態を明らかにする。また、改革派とみられる次期事務次官の本命候補の命運に迫る。