LEDを使った最新育毛療法と
自毛植毛術の効果のほどは
また最新育毛療法としては、乾医師が10年以上前に開発した「ナローバンドLED(発光ダイオード)治療」が挙げられる。
「LEDによる皮膚治療は以前からありました。傷を治したり、皮膚の色素沈着を取り除いたりする分野で効果があるとよく知られていたのです。私は波長の長い赤色LED光を使い、毛の成長に重要な働きをする毛乳頭細胞を活性化させる効果を発見しました」(乾医師)
この治療法はガイドラインでは推奨度B(行うよう勧める)。しかし薬物治療ほどの効果はないという。
「フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルほどの有効性はなく、緩徐な効果です。ただ高齢の女性で持病があってミノキシジルが使えない方などには良い治療法といえるでしょう。だいたい有効率は6~7割でしょうか。計測すると、非常に微細に毛の量が増えるという状態です」(同)
そのほか自分の健康な毛髪を採取し、薄毛になった前頭部や頭頂部に移植する「自毛植毛術」もあるが、齊藤医師によると「期待できる治療法ではあるものの、安全性、定着率など今後さらなる整備が必要」とのこと。
兆しが見えたら早めに医療機関に
医者選びのポイント
ところで薄毛の遺伝的影響はどの程度あるのだろうか。
「いくつかの脱毛症は関与する遺伝子がわかっています。しかし100%ではありません」と齊藤医師。
「兆しが見えたら、早めに医療機関を受診するといいでしょう。コンプレックスから病院へ行くことをためらう人が多いとは思います。しかし、薬で維持療法ができることを知ってほしい。医者を選ぶ際は親身になって話を聞いてくれるかどうか。『これにしなさい』と何かを売りつけられるようなところは避けたほうがいいですね」
薄毛で病院に行くことは恥ずかしいことではない。むしろ髪が薄くなってきたことを気に病んで、ストレスを抱えるくらいなら、早めに受診して医学的判断を仰いだほうがいいと私も思う。できる治療法は着実に増えている。
さて薄毛(AGA)も「脱毛症」の一つであるが、そのほかにも病的に毛が抜ける原因はさまざまにあると述べた。3月29日(水)公開予定の後編では、脱毛症の代表格である円形脱毛症を取り上げる。