前政権の司法府支配を
いかに終わらせるか
3月24日付朝鮮日報は、「韓国大法院は『うそも無罪』、憲法裁は『手続きに反する検察捜査権完全剥奪法も有効』」と題する社説を掲載、韓国司法の最高決定機関が極めて政治的に偏向した決定をしていることを批判している。
憲法裁は最近、民主党による昨年の「検察捜査権完全剥奪法」の採決について、民主党の審議・表決権侵害を一部認めたものの、法案の可決自体は有効だと判断した。これに対し、国民の力は、同法は無効だとして訴訟を起こしていた。
憲法裁の裁判官9人のうち8人は文在寅前政権で任命された。そのうち5人は左派傾向の強い民主社会のための弁護士会(民弁)、ウリ法研究会、国際人権法研究会の出身だ。残る4人は法制司法委員長による可決宣言は無効だと主張したが、リベラル系裁判官がこれを有効だとして、訴えは棄却された。
また、大法院も文在寅前政権時代、京畿道知事だった李在明氏が京畿(キョンギ)道知事選の討論会で虚偽発言をし、控訴審で当選無効に相当する判決が出ていた事件の審理を差し戻し、李在明氏の大統領選出馬の道を開いた。
社説が指摘したのはこの2件の例である。
韓東勲(ハン・ドンフン)法相は「法相として憲法裁の決定を尊重する」としながらも「違憲・違法だが有効という結論に共感するのは難しい」と述べた。
司法の最高決定機関が政治的に偏向した判決を行うような、現在の「何でもできるような状態」を改革しない限り、韓国は法治国家として機能せず、国民は民主主義を享受できないだろう。改革にまず必要なことは人事の刷新であるが、大法院長、憲法裁裁判長の任命には国会の議決が必要であり、文在寅前政権との対立をいかに乗り切るかがカギとなる。
試金石となるのは金命洙(キム・ミョンス)大法院院長の任期が今年9月までなので、その後の大法院院長の任命同意案の国会提出が出発点となる。そこで尹錫悦大統領が求める候補者について国会の同意が得られない場合には、民主党との全面対決に発展するかも知れない。