2024年入試対応!わが子が伸びる中高一貫校&塾&小学校#20

首都圏には四大塾以外にも魅力的な中学受験塾が多く存在する。特集『わが子が伸びる中高一貫校&塾&小学校』(全29回)の#20では、王者SAPIXより御三家合格率が高いグノーブル、エルカミノ、希学園首都圏と、今年2月に開校して注目度の高い進学館ルータスのキーマンに難関校合格の秘訣や指導方針を直撃。上位層だけでなくその塾の「真ん中」の子どもが狙える具体的な学校名についても明らかにしてもらった。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

「迷ったら4大塾」はもったいない
難関校に強い精鋭塾を徹底解剖

「SAPIX以上に御三家合格率の高い塾がある」──。中学受験塾を選ぶ際、「4大中学受験塾(SAPIX、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミー)に入れておけば安心」という考え方はもったいない。首都圏には難関校に強い塾から、中堅校に強い塾までさまざまな中学受験塾があるからだ。

 塾で過ごす時間は、ある意味では小学校以上に濃密である。思春期の大事な6年間の環境を手に入れるために、子どもにも家庭にもベストな塾を選ぶようにしたい。

 今回は規模では劣るものの、難関校合格率ではSAPIXと同等以上の難関校向け精鋭塾であるグノーブル、エルカミノ、希学園首都圏について解説する。

 下表は2023年度入試における各塾の在籍者に対する御三家合格者数と合格率だ。グノーブル、エルカミノ、希学園首都圏共にSAPIXの御三家合格率13.8%を上回っている。合格実績は優秀な子どもが複数の学校に合格して稼ぐケースもあるが、御三家の入試は2月1日の1回なので、上位層の実力を反映しているはずだ。

 各塾の特徴を見る前に難関校向け精鋭塾の強み、弱みを確認しておこう。一番の強みは「教師との距離が近く、目が行き届きやすい」(希学園首都圏学園長の山崎信之亮氏 ※山崎信之亮氏の「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記、以下同)ことである。

 またSAPIX以外の四大塾の場合、校舎によっては御三家合格者がゼロや1人ということもある。優秀層が一つの校舎に集中して、切磋琢磨する環境が生まれやすいのもメリットだろう。

 一方、デメリットとして考えられるのは大規模なクラスの昇降がないということだ。ただし、これについては「6年生は毎月他塾の模試を受けるので、それで十分に緊張感を維持できる」(エルカミノの村上綾一代表)という。

 それではグノーブル、エルカミノ、希学園首都圏の特徴を見ていこう。実は面白いことに、難関校に強い塾といっても教育方針や雰囲気、入塾テストの難易度はさまざまである。

 グノーブルは三つの塾の中では最も規模が大きい。また、エルカミノや希学園首都圏が男子中心なのに対して、女子御三家の合格実績も高い。それなりに家庭の覚悟は必要な塾だが、子どもが主体的に取り組めるきっかけ、環境が用意されているともいえよう。

 御三家合格率が最も高いエルカミノは「算数が強い子向き」(村上代表)で論理的な指導が特徴だ。授業時間は短いが集中力が要求され、「上位の子に合わせて授業をする」(同)と明言する厳しさもある。

 一方、希学園首都圏は塾の滞在時間が長い塾である。通常授業後に自習時間が設定されており「6年生は家には帰って寝るだけという子が多くなる」(山崎氏)という。ハードではあるが、熱い声掛けなど面倒見の良さが特徴だ。

 塾選びについてはSNSなどネットにもさまざまな情報がある。だがグノーブルでは「ネットの口コミに過度に頼らない方がいい。実際に足を運んでいただき、そのときの説明会での先生の話し方、表情を見て通わせるかどうかを検討してほしい」という。

 また、子どもだけでなく、家庭との相性も重要である。主役は子どもでも、親の伴走が必須なのが中学受験だからだ。

 次ページでは各塾のキーマンに強さの秘密や教育方針、上位何割にいれば難関校に合格するのかなど合格実績についても直撃。「真ん中や下位クラスから合格可能な中学」も具体的に聞いた。

 番外編として2月に開校し、すでに全学年で満席となった進学館ルータスの吉田努氏のインタビューも掲載。吉田氏は関西の馬渕教室で実績があるが、首都圏でも下克上を起こせるのか。

 それぞれ各塾の個性が出たインタビューを特大ボリュームでお届けするので、難関校が目標でこれから塾を選ぶ保護者や、通塾中の塾に疑問を感じて転塾を検討している保護者はぜひチェックしてほしい。