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インキュベーションの虚と実

ピボットは罪か必然か
カン違いせず、大胆にやる事業転換

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第21回】 2013年2月18日
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 もちろん、事業によってピボットの形も左右され、かつ起業家チームの創造性も試される。つまり、様々なアプローチで、市場に刺さるビジネスに転換を試みるということだ。

ピボットへの批判
失敗のごまかしか?

 このところピボットはスタートアップ界隈の流行語として一・二を争う勢いで、急速にバズワード化した。起業の経営論として注目される反面、シニカルな見方や懸念も囁かれている。

 Pivot or Persevere?(ピボットするか、屈せずにやり通すか)は、よく目にする問いだ。安易なピボットは無駄を重ねるだけになりかねない。

 投資家であるアンドリーセン・ホロウィッツのマーク・アンドリーセン氏は、「失敗に対して軽く考え過ぎだ。ピボットはかつて「Fuck up」(ばかやろう)と呼ばれた。失敗しても汚名とならないのはよいが、多くの起業家があまりにも早くあきらめている。失敗を崇拝するなんてことがあったら冗談じゃないよ」と語る(第17回)。当初のプランにお金を出したのに「ダメなので転換する」と言われても、投資家は頭にくる、ということだ。

 また、テッククランチの記事「リーンスタートアップ方法論は早くも時代遅れ, 製品は最初から完成度が高くないとだめ」は、最小限の未完成品での試行錯誤を否定し、完成度を高めないと市場に受け入れられないと説き、リーン・スタートアップ的なピボットに警鐘を鳴らす。

適切なピボットは成功確率を高める
成功例が示すピボットの威力

第19回でスティーブ・ブランク氏が紹介したエピソードの様に、投資家からお金を得て以降一年以上、オオカミ少年のような役員会の繰り返しを経て、幹部をクビにして転換するより、もっと早い段階で市場のフィードバックを得てピボットした方がずっといいはずだ。

 また、ステルス戦略で誰にも何も知られないようにして開発を進め、満を持して製品をローンチしたが、顧客ニーズに合致せずに失敗した例もある。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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