学生の「納得感」を企業がどうつくり出していくか

 作馬さんが、企業経営者や人事担当者によく伝えているのが、「『採用する』という“上から目線”を捨てた方が良い」ということだ。

作馬 もちろん、最終的には企業側が学生を選ぶのですが、その前提として、“自社の求める人材”に「選んでもらう」というステップがあります。企業側が「選ぶ」のはその後です。「選ぶ」前に「選ばれる」こと――そのために、何をするのかを考えなければいけません。採用におけるさまざまな施策や動線を、“選ばれるため”に組み立てていくと、これまでのやり方を一から見直す必要も出てくるでしょう。これは新卒採用だけではなく、中途採用や海外人材採用も同じです。企業側に「選ぶ」という意識だけが残っていると、うまくいきません。

 下手(したて)に出ようとか、腰を低くしようと言っているわけではなく……働く側が企業に求めるものと企業が働く側に求めるものが近くなることで、お互いがより良い関係になるのです。今後、個人と企業の関係はより対等なものになっていくことを理解したいですね。

 作馬さんが強調するのが、学生の「納得感」だ。ミスマッチを減らすといっても100%のマッチングは無理だろう。働く側にとって、入社に至るまでのプロセスが納得できるものかどうかが、入社後のモチベーションや活躍の度合いを左右していく。

作馬 例えば、新卒の場合、大手企業の選考がほぼ終わった段階で、当初の志望とは違う業界や企業を検討し始める学生が一定数います。そういう学生にとっては選択の幅や時間はより少なくなり、「とりあえず、内定の出るところに……」となりがちで、納得感は大きく下がります。

 学生はその状況を避けるために、早い段階から幅広にいろいろな業界や企業を知っておくことが大切です。“幅広に知る”段階を踏んでいれば、学生は自分なりの“軸”を持って就活を進めることができ、「とりあえず、内定の出るところに……」といった消極的な選択をしなくてすみます。就活に正解はなく、重要なのは、就活から入社に至るプロセスを学生自身が納得できるかどうかであり、企業側もその観点で、彼ら彼女たちに向き合い、サポートしてほしいと思います。

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