昨今、リスナーは業界の事情を(誤解も含め)よく知っている。ラジオは斜陽だとか、経営が苦しいとか。さらに世間のステマに対する嫌悪や、良くも悪くも「なんでもオープンに」という空気がある。裏表なく、なんでも可視化されちゃう今の世の中にあわせ、番組側の気持ちや思惑、そして経緯を全てオンエアしたほうが潔い。大きなきっかけは、「ブタメン」を販売する「おやつカンパニー」さんとのお付き合いだった。番組で昔よく食べていた「ブタメン」についてトークしたところ、リスナーにおやつカンパニーの社員さんがいて商品を送ってくれた。だけど、岩井勇気君が冗談半分で「商品を送ったら紹介してもらえると思ってんだろ?俺たちはキギョックスフレンドじゃないんだよ!」と悪態をついた。

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「キギョックスフレンド」という“企業”と“セックスフレンド”を合体させたパワーワードがTwitterのタイムラインを中心に盛り上がった。そのオンエアを聴いてタイムラインも見ていたおやつカンパニーのリスナー社員さんから翌週お詫びのメール(もちろんコントのノリとわかって)が届いて、一週間限定でスポンサーになっていただくことになった。内側やストーリーを全てオンエアしたことが功を奏し、おやつカンパニー提供週で行った「#ブタメン収穫祭」は一時間でツイッターの日本トレンド一位を獲得。番組、リスナー、出演者、スポンサー、みんなが満足する取り組みになった。

 このスタイルを確立して以降、コンスタントにタイアップが行われている。かつて毛嫌いされがちだった営業案件だって、番組の創意と工夫でなんとかなると実感した。ラジオはやっぱり“リスナーと一緒に熱を上げていくこと”で「思い」が「力」に変わる。

この20年でラジオが変わらなかったこと

 ラジオを変えてきたもの……。振り返るとこの20年で結構あった。

 どれもこれも功罪や良し悪しがある。そう思うのは単純に僕が古臭い考え方に凝り固まってアップデートできていないからだ。新しいものや有用なものを取り入れてラジオは進化していかなければならない。時代やニーズに適応して世間に即し、リスナーにとって価値のあるものを提供し続けなければならない。その反面、変わらないもの、変わってほしくないもの、変えちゃいけないものはある。

 例えば、地震や台風など災害時の情報源としての役割だ。

 もう二度と起きてほしくないけど、東日本大震災当日の話。僕は「おぎやはぎのメガネびいき」の生放送を終え、金曜日の朝に帰宅して就寝。昼過ぎに起きてお風呂に入り、出てバスタオルで身体を拭きながら、向かいの部屋で当時二歳の長男が本棚によじ登って絵本を取ろうとしているのを眺めていた。パンツを穿いた瞬間、今まで経験したことのない揺れを感じ、とりあえずパンツ一枚で長男を抱えて本棚から離れた。右手で長男を抱っこ、左手でテレビを押さえた。揺れが止むのを祈ることしかできなかった。ラジオとテレビをつけて何が起きたか情報を得る。