ラインアップは2種類ある。従来型と同様に、ハッチバックとヴァリアント(ワゴン)の双方に設定される。乗り比べると両車の乗り味は微妙に異なることに気がついた。
カタログ上で60kgという重量差がもたらす動力性能の違いは無視できるレベル。というより、“現実には実感するのが困難”という程度にすぎない。ところが、フットワークの違いはとくに高速クルージングになると、意外なほどに明確になる。落ち着いてフラット感の高い乗り味を示すのはヴァリアント。前述したように重量差の影響もあるが、ゴルフ史上で初めて2つのボディで異なるホイールベースを採用し、ヴァリアントのほうがハッチバック比で50mm長い。これが乗り味に関係している可能性が高い。
一方、両ボディで差は感じられないと報告した動力性能は、ともに刺激的。フルアクセルを与えたシーンでは、ターボチャージングが施されているとはいっても、とても2Lの心臓から発せられているとは思えないほど強烈なパワーが体感できる。シビック・タイプRと同等の320psという最高出力と、420Nmの最大トルクを4WDシステムが無理なく路面へ伝達する。
それでも、ピーク時にはステアリング反力が微妙に弱まるのを感じるほどだ。パフォーマンスは、まさにRを名乗るにふさわしい。
史上最強であると同時に
最も辛口の仕上げ
試乗車は、大径の19インチタイヤと電子制御式可変減衰力ダンパーかセットになったDCCパッケージが装着されていた。コンフォート・モードを選択しておけば、路面凹凸への当たりこそ硬めであるものの、サスペンションの動きは滑らか。日常ユースを快適にこなせる。
一方、スポーツを飛び越えレース・モードを選択すると雰囲気は一変する。ステアリングが重さを増し、排気音にバブリングの演出が加わる。そしてDCTは、減速時に次の加速を見越した早めのダウンシフトを行ってくれる。
史上最強であると同時に、最も辛口の仕上げ――Rはゴルフ・シリーズの中にあって異端児といっていい存在だ。
(CAR and DRIVER編集部 報告/河村康彦 写真/小久保昭彦)