日系時計3社は、そろって時計事業の売上高が急回復している。ところが、各社の利益をつぶさに分析すると、セイコーは“独り負け”状態にある。しかし、業界関係者の見立てでは「将来的にセイコーは“独り勝ち”になる可能性すら秘めている」という。特集『セイコー、シチズン、カシオ 時計“御三家”の黄昏』(全8回)の#4では、競合より稼ぎにくいセイコーのビジネス構造を解明するとともに、「反撃の秘策」を開陳する。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
御三家「V字回復」でもセイコー“独り負け”
反撃の鍵を握るのはエプソン?
コロナ禍が終息の兆しを見せ始めた2021年以降、他業界と同様に日系時計メーカーも急回復を遂げた。外出の機会が増加して腕時計のニーズが高まったことに加え、対面販売の復活も増収を後押ししている。
しかし、日系3社の利益を分析すると、明暗がくっきり分かれていることが分かる。セイコーグループが“独り負け”状態に陥っているのだ。
ところが意外なことに、セイコーに対して株式市場の見方は決して悲観的ではない。長年セイコーを見てきたあるアナリストは、「セイコーは近い将来“独り勝ち”になる可能性すら秘めている」と期待を寄せる。
次ページでは、セイコーのビジネス構造を解明するとともに、「反撃の秘策」を開陳する。実は、出自を同じくするセイコーエプソンがセイコー反撃の鍵を握っているとされる。一体どういうことなのだろうか。