一昨年、カシオは前社長である樫尾和宏氏(現会長)による「パワハラ問題報道」で大揺れとなった。騒動の発端は、樫尾氏のパワハラ発言が収録された音声データが拡散されたこと。内部告発者は「ある意図」を持って通報に踏み切ったのだが、音声がメディアに流出してしまい、その意に反して騒動が独り歩きしてしまったのだという。特集『セイコー、シチズン、カシオ 時計“御三家”の黄昏』(全8回)の#2では、パワハラ騒動の真相に迫る。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
社長のパワハラ報道でカシオに激震
音声流出で独り歩きした騒動の真相とは
2021年3月、大手時計メーカーのカシオ計算機を揺るがす大事件が起きた。樫尾和宏社長(現会長)による「パワハラ問題」が報じられ、それを裏付ける根拠として、和宏氏の音声がインターネット上で拡散されたのだ。この事態にカシオ社内が騒然となったのは想像に難くない。
ところが、カシオ関係者の間では、当時の報道を額面通りに受け取る人は決して多くはなく、「事実がゆがめられた」といった見方が広がっているという。
取材を進めると、流出した音声が拡散されたことで、告発者の意図に反して騒動が独り歩きしてしまった経緯が明らかになった。
次ページでは、和宏政権時代に起きたパワハラ騒動の背景を明らかにしながら、事件の真相に迫る。告発者の「本当の意図」はどこにあったのだろうか。