京都企業を代表する「御三家」として、村田製作所、日本電産、京セラは、創業者の強烈なリーダーシップで世界企業に躍進した歴史を持つ。3社とも京都企業として初の売上高3兆円の規模に迫ろうとする優良企業だ。特集『京都企業の血脈』(全18回)の#9では、御三家の強さの秘密に迫った。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
日本電産と村田が京セラの売上高を抜き
「御三家」は京都初の2兆円企業へ
「京セラのような会社にしたいと思い、稲盛さんの背中をみて頑張ってきた」
1973年に日本電産を創業した永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は、同じ京都で京セラを創業した稲盛和夫氏に並々ならぬ思い入れがあったことで知られる。59年に創業した京セラが連結売上高1兆円に達したのはITバブルが崩壊する間際の2001年3月期のこと。日本電産が1兆円に達したのはこれに遅れること14年後の15年3月期だ。
そこからわずか6年後。21年3月期に日本電産は初めて京セラの売上高を追い越した。だが、永守氏はこの時「悲願」達成にもかかわらず、特に何も感想めいたことを話すことはなかった。いみじくも同じ21年3月期、やはり京都で創業した村田製作所も京セラの売上高を抜き、しかも日本電産の規模をわずかに上回った。実は村田が売上高1兆円を突破したのも15年3月期であり、日本電産と全く同じ規模で成長をしている。
一番以外は全部ビリ――。何事も一番を目指す永守氏が、村田に抜かされた状態のままで京セラを追い抜いたことを誇らしげに語るわけにはいかなかったようだ。
いずれにしてもこの3社は、京都企業として初の売上高2兆円に手が掛かった。次ページでは、偉大な創業者を持つ3社の経営を徹底解剖し、その強さの秘密に迫ってみよう。