セイコー、シチズン、カシオ 時計“御三家”の黄昏#3Photo:Shotaro Imaeda、イメージマート/aflo、JIJI

シチズン時計は20年以上前に同族経営から脱却したのに対し、セイコーグループやカシオでは今もなお創業家が威光を放っているのが実態だ。特集『セイコー、シチズン、カシオ 時計“御三家”の黄昏』(全8回)の#3では、老舗時計メーカー3社の歴史とブランド戦略をひもときながら、同族経営の功罪について徹底分析した。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

シチズンはカシオより20年先に“脱同族”を達成
御三家の「創業家脱却度」を徹底比較

 今年、日系時計メーカー大手のカシオ計算機から初の「非創業家社長」が誕生し、業界に衝撃を与えた(カシオの社長交代については、本特集の#1『カシオ初の「非創業家」社長が抜てきされた裏側、樫尾家の返り咲きはあるか』参照)。しかし、社長を退いた樫尾和宏氏は今もなお代表取締役会長の座にあり、経営の中枢にとどまっている。

 同様に、ライバルメーカーのセイコーグループでも、創業家出身の元社長、服部真二氏が10年にわたって代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)を務めている。両社共に社長こそ同族ではないものの、今もなお創業家が威光を放っているのが実態だ。

 一方、シチズン時計では20年以上前に脱創業家を成し遂げている。詳細は後述するが、日本の時計“御三家”の創業家とのつながりには、各社の歴史やブランド戦略が深く関わっており、“三社三様”の様相を呈しているのだ。

 次ページでは、老舗時計メーカー3社の歴史とブランド戦略をひもときながら、同族経営の功罪について徹底分析する。果たして、時計のブランド力向上に創業家のパワーは必要なのだろうか。