旅行復活の観光地、魅力発信を支える都市部の「副業者」息を吹き返した観光地・宿泊施設を、都市部に住むビジネスパーソンがリモートで支援する動きが出ている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新型コロナウイルス感染拡大から3年。行動制限が緩和され、以前の生活が戻りつつあります。コロナ禍において多くの人々が我慢していたものの一つが「旅行」。全国旅行支援の後押しもあり、再び観光旅行の動きが活発化してきました。インバウンド(訪日外国人客)需要も回復に向かっています。

コロナ禍の影響で大打撃を受けた観光地では、旅行客を呼び込む新たな戦略を練るととともに、「人材不足」の解消を図っています。そして、そのような観光地・宿泊施設を、都市部に住むビジネスパーソンが「リモート副業」のスタイルで支援する動きが出てきています。

リクルート「じゃらんリサーチセンター」の調査データも交え、近年の観光旅行に見られる変化と、「ふるさと副業」のトレンドについてご紹介します。

「みんなが好きな旅」から
「私が好きな旅」へ

 近年、観光旅行は「個人化」「高付加価値化への模索」が進んでいます。

 数十年前までの国内宿泊旅行といえば「団体ツアー」が主流でしたが、インターネットの普及に伴い、旅先の情報収集や予約が個人で手軽にできるようになっています。これに伴い、旅行のグループサイズは縮小傾向をたどっています。

 このように以前から見られた「旅行の個人化」の傾向は、コロナ禍で加速。リクルートが行った「じゃらん宿泊旅行調査」によると、2021 年度に実施された国内宿泊旅行のうち、「夫婦2人での旅行」が27.4%。次いで「一人旅」は20.1%と、過去最高値となりました。

         国内宿泊旅行の動向形態(単一回答/延べ宿泊旅行件数ベース)

旅行復活の観光地、魅力発信を支える都市部の「副業者」

 個人旅行が一般化している理由は、ネット予約やSNSでの情報収集がしやすくなったことだけではありません。「自分にとって楽な旅行をしたい」と思う人が増えているとも見られます。

 旅行中、同行者が多いほど、「立ち寄り先」「食事する店」「余った時間の使い方」など、意見の統一が難しくなります。自分の希望を抑え、人に合わせる場面も多いもの。「せっかくリフレッシュするための旅行なのに、同行者に気を遣い過ぎたくない。自分が行きたい場所に行き、食べたいものを食べ、本当にやりたいことをしたい!」と、個人旅行を選ぶ傾向が強くなっているのです。

 個人が自身の嗜好に合わせて旅行をする傾向が強まるなか、好きなドラマ・アニメなどに登場した場所、好きな著名人のゆかりの地を訪れる「聖地巡礼」の旅も活発化。また、地域独自の自然や文化を体験する「アドベンチャーツーリズム」も注目を集めています。

 こうした時代の流れに応じ、観光客誘致を図る地域や宿泊施設では、個人の価値観に寄り添った魅力の打ち出しや、付加価値の提供に取り組み始めています。