[激変]生保・損保・代理店 保険大国の限界#19Photo:PIXTA,Yasuo Katatae

あいおいニッセイ同和損害保険の支店の業務を損保代理店に一部移管する「中核代理店制度」。昨年4月からスタートし、ひとまず順調そうに見えたが、昨年末に山口県で大騒動が起こっていた。特集『[激変]生保・損保・代理店 保険大国の限界』(全22回)の#19では、その中身をレポートする。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

あいおいの新施策「中核代理店制度」
山口県で大騒動の内幕を大暴露

 大手損害保険会社4社の一角を占める、あいおいニッセイ同和損害保険の特徴は、リテール営業に強みがあることだ。それだけに、売上高に相当する正味収入保険料に占める自動車保険の割合は、他の3損保と比べて約10ポイント高い、6割弱を占めている。また、あいおいの商品を取り扱う損保代理店の数も他損保に比べて多い。

 リテールの強みを生かしてあいおいが取り組むのが、地域密着型の経営だ。あいおいが得意とする、運転挙動に応じて保険料が変動するテレマティクス型の自動車保険から得たデータやノウハウを生かすことで、事故を減らしたり、地域の危険な道路や交差点を特定したりするなど、地域の課題を解決することを目指している。そのためには、地域に根差した損保代理店との連携が重要になる。

 そのあいおいが、昨年4月からスタートさせた施策が「中核代理店制度」だ。これまで、地域の中心的な役割を担ってきた代理店や、あいおいの子会社代理店であるあいおいニッセイ同和インシュアランスサービス(ADIS。いわゆる直資代理店)が中核代理店(呼称はフラッグシップパートナー)に移行し、同じ地域にある代理店を中核代理店の傘下にぶら下げる(参画代理店)というものだ。

 さらに、中核代理店にあいおいの支店機能の一部を持たせ、あいおいの社員が出向するとともに、支店長が代理店の社外取締役に就任する。そして、支店から課された目標管理や参画代理店の業務支援を中核代理店が行うというもの。代理店から中核代理店に移行した場合は、別の企業体ながらも、あいおいの支店の一部を形成する組織体となるわけだ。

 上図の通り、昨年4月に66店でスタートした中核代理店は、今年4月時点で80店にまで拡大。スタートして以降、さほど大きな混乱はなさそうに見えたが、さにあらず。昨年、山口県で中核代理店を巡る大騒動が勃発していたのだ。次ページで、その中身を詳述しよう。