役職定年の悲哀#2Photo:PIXTA

損害保険業界の雄、東京海上日動火災保険は給料の高さでも知られるが、一定の年齢でポストオフが存在する。ある年齢になると年収が激減してしまうのだ。その東京海上を追い掛ける損害保険ジャパンはジョブ型に移行、MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下の2社は給料面でグループ内格差が存在する。特集『中高年の給料激減!主要企業のデータ初公開!大企業の5割導入 役職定年の悲哀』(全17回)の#2では、損保会社各社の中高年の年収変化の悲哀を具体名と実額で明かしていく。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

東京海上は年収3割減
あいおいは大幅減

「丸の内は人材の質だけでなく、給料の高さでも頭一つ抜けているよね」と、損害保険業界の面々は口々に言う。

 損保業界において「丸の内」といえば、本社ビルが皇居の眼前、千代田区丸の内にある東京海上日動火災保険のことを指す(現在は本社ビル建て替えのため常盤橋地区に移転)。その東京海上といえば、優秀な人材の多さに加え、何より給料が高いことでもよく知られている。名実共に、損保業界の盟主といっても過言ではない。

 ここに、ある内部資料がある。損保会社の全国型社員(いわゆる全国転勤がある総合職のこと)の標準賃金をまとめたものだ。新卒で入社すると担当者からスタートし、その後主任や課長代理、課長といったふうに昇進していく。この資料には、年齢と役職に応じた年収が記載されている。

 そこで、東京海上と損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の大手損保4社の年収推移を見ていこう。

 4社とも初任給に大差はなく、350万~400万円あたりからスタート、その後は右肩上がりで年収が増えていく。年収1000万円の壁を突破するのは、あいおいを除いた3社が30歳前後と、さすが大手金融機関だけに給料水準は高い。ちなみに、あいおいが1000万円を突破するのは30代後半であり、他の3社に比べて総じて給料水準は低めだ。

 次に差がつくのは、課長代理から課長に昇進する頃だ。ここで東京海上が頭一つ抜け、損保ジャパンと三井住友海上を引き離していく。これら4社の給料の推移は次ページ図を参照していただくとして、本特集の主題である役職定年に話を移そう。

 大手4社とも、「かつて役職定年制度はあったが、今はない」というのが正式回答だ。ここで、役職定年を「一定の年齢になると管理職を管理職でなくし、その分のポスト給が減少する」と定義すれば、確かに役職定年制度はない。だが取材を進めていくと、各社とも役職定年に類する制度があることが明らかとなった。

 東京海上では一定の年齢になるとポストオフし、年収が3割減となる制度が存在する。また、三井住友海上とあいおいは、一定年齢になれば給与テーブルが変わる制度を導入。ジョブ型の制度を一部で導入した損保ジャパンは、人物本位の人事制度に改定したばかりだ。

 では、損保各社にはどのような制度があるのか。東京海上のポストオフ制度で年収がどのように変化するかに加え、一定の年齢で年収がガクンと減るあいおいの年収の実額など、次ページ以降で明らかにしていこう。

図表:東京海上日動火災保険の部・課長の年収とポストオフ
図表:あいおいニッセイ同和損害保険の役職定年前後の変化