生成AIの利用が、日々の業務を変える
「今ほど変化が激しい時代はかつてなかった。」マネジメントの教科書に頻出するこのフレーズだが、それこそ、今ほどこの言葉を使うのがふさわしい時代はないだろう。
私はリスクマネジメント・コンサルタントとして、主に企業のリスク管理の支援をしているのだが、クライアントを見ていると、未来に何が起きるかを予見するのが極めて難しくなっている。また、変化が変化を生む連鎖が加速し、組織運営に深刻な影響を与えていることをまざまざと思い知らされる。
経営者たちは、「何をどう決めるか」だけではなく、「どこまで対応するか、いつ決めるか、どのような順序で対応するか」などの問題に頭を悩ませている。これまでの根本的な変化といえば、気候変動、地政学的なバランスの変化、データ駆動型社会の到来などだった。
そして、今起こっている変化が、生成AIの利用の本格化である。
とりわけ、生成AIの利用が日々の業務に与える影響は、直近のもっとも大きな変化と言ってよいだろう。ChatGPTの出現までは、将来起こりうる可能性として語られてきたにすぎない変化だが、それが、ここ数カ月で、すでに現実化してしまったのである。
この生成AIの出現で、具体的な仕事のやり方が大きく変わる。そしていろいろな仕事がどんどん消滅する。企業の業務プロセスや人材の需要、育成に非常に大きな変化をもたらすことは間違いない。
そうなると、問題なのが、昨今、導入企業も増えてきた「ジョブ型雇用」である。結論から言うと、このシステムの導入は今すぐやめるべきだ。一体なぜか説明しよう。