「スカウト型」に「ジョブ型」、多様化する新卒採用の最新事情日本の新卒採用も「ジョブ型」など多様性を増している(写真はイメージです) Photo:PIXTA

2024年卒の就活が佳境に入ってきた。就職・採用に関する調査、分析を行う、リクルート就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏が、就活の最前線を語る連載の第6回。学生の多様化する価値観に合わせて、変化し始めた企業の採用手法や人事施策の多様化について解説する。

多様化する採用方法と採用形態

 当研究所が発表している『就職白書2023』で企業に調査したところ、2023年卒採用においては、採用環境の厳しさが増し、個人の価値観が多様化する中で、企業はそれに適応すべく、職務限定型採用(ジョブ型採用)の導入や、一律初任給の見直しなど、これまで画一的だった各種人事施策を多様化させる動きを進めていることが分かりました。2024年卒の採用活動でも、さらにその動きは加速していくと予想されます。今回は、この多様化する採用手法や各種人事施策について解説していきます。

 まずは、「スカウト・オファー型の採用」についてお話しします。同調査で企業に聞いた2024年卒の採用方法・形態の予定を見ると、「スカウト・オファー型の採用」が28.5%と、2023年卒の採用活動での実績から5.7ポイント増加しています。特に従業員規模が5000人以上の企業では、10.5ポイント増の47.3%が実施予定と回答しています。

「スカウト・オファー型の採用」というのは、就職情報サイトなどに学生が登録しているプロフィールや自分の強み、経験などの情報を企業側が見て、インターンシップの案内や説明会、選考などへの案内を企業が学生に直接送るサービスです。

 学生が事前に登録している経験や個性に興味を持った企業から案内が届くので、学生は自分の特性とマッチする仕事と出会いやすいというメリットがあります。また、今まで気づいていなかった業界や企業と出会えるというメリットも感じているようです。

 親世代の方々からすると、就職活動は、学生から企業にアプローチして活動することがほとんどだったかと思いますが、この逆求人型サービスともいえる「スカウト・オファー型の採用」を2024年卒の採用から導入しようと考えている企業が、3割近くあるのです。