公明側によれば、「自民党は当初、28区の候補はいないと説明したので、候補擁立を決定した。だが、後になって自民党が別の候補を立てた。そのため、事実上の空白区となっている東京12区、15区を譲る案も提示したが、話がまとまらなかった」という。
そこで、公明党は、次期総選挙での東京都下のすべての選挙区で自民党候補の推薦を見送り、都政での協力も停止することにした。このことで、たとえば、各選挙区での公明党比例票がそのまま逃げていったら、7選挙区で自民候補は落選となるし、もし、野党候補に流れたら、もっと大きい影響があるかもしれない。
特に今回は、維新が東京でも多くの候補を擁立しそうで、それも公明票の受け皿になりそうだ。なにしろ、公明党は比例で公明党候補に投票するために投票所には行くので、小選挙区で棄権だとか白票は考えにくい。
また、大阪や兵庫で、公明党票候補が出る選挙区で維新は対立候補を立てるといっているし、前回の選挙の時と違って、大阪府議会だけでなく、大阪市議会でも維新は過半数を獲得したので、公明党の協力が不要になった。
とはいうものの、将来の協力のことも考えたら、維新がすべての選挙区で候補を擁立するかは微妙で、事実上、立てない見返りに東京で公明が維新に協力する可能性はある。
自民と維新の連立が
得策ではない理由
「自民党の保守派は、公明党との連立などしているから憲法改正ができない」とか「維新と連立を組めばいい」などの声もあるが、両方ともあまり良い知恵とはいえない。今回は、そこに話を絞って解説したいと思う。
公明党は、憲法改正には積極的でないが、拒否しているわけではない。ただ、第9条の改正には慎重である。太田昭宏代表の時代、安倍晋三首相(当時)に現在の第9条に手を加えないなら受け入れる可能性があるという耳打ちがあり、安倍氏はそれまで自民党が掲げてきた過激な改正案を諦めて、「第9条の2」を加える現在の自民党案に転換した。