株価・給料・再編 5年後の業界地図#12Photo:PIXTA

中学受験が史上空前の盛り上がりとなる一方で、大学受験は浪人比率が減少。予備校は校舎の統廃合が進む。少子化の影響は中長期では不可避であり、今後5年間は低年齢層の取り込みや業態拡大に取り組んだ企業が勝ち組になる可能性が高い。特集『円安・金利高・インフレで明暗くっきり! 株価・給料・再編 5年後の業界地図』(全24回)の#12では、M&Aや提携によるグループ化を含めた各社の生き残り戦略を、私塾界(全国私塾情報センター)の山田未知之社長と中学受験に詳しい石田達人氏に聞いた。また、約100社が登場する再編マップも紹介する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

※2022年6月26日に公開した有料会員向け記事を、期間限定で無料公開!全ての内容は取材当時のままです。なお、7月中旬から特集『5年後の業界地図2023年版』がスタートします。ご期待ください!

学習塾の売上高は14年で37%増だが
深刻な少子化で合従連衡が加速

「首都圏の中学受験者数が過去最高」――。

 漫画『二月の勝者』の影響ではないだろうが、都心部での中学受験熱が高まっている。中学受験塾SAPIXの多くの教室が小学校低学年の段階で満席となり、「募集停止」になったことも、首都圏の教育熱心な家庭で話題になった。

 私塾界(全国私塾情報センター)によると2005年から19年までの間に小中高生の人口は約12%減少しているが、学習塾の売上高は37%増加している。子供の数は減っているが、1人にかける教育費は増加しているのだ。

 ただし、塾業界の5年後が明るいかというと、そこは疑問符が付く。15歳未満の子供の数は40年以上連続で減少しており、コロナ禍の2年間はさらに少子化が加速している。塾業界に本格的に影響が出てくるのは10年後だとしても、中長期では従来のやり方を踏襲するだけでは厳しい。

 実際、大手予備校と中学受験大手塾との提携など、生き残りを懸けた合従連衡はこの10年で加速している。幼児、小学校、中学、高校、大学とそれぞれの段階で勝敗を分けるポイントとは何か。実は足元で業績を伸ばしている企業や、大手予備校と4大中学受験塾とのM&A戦略などを分析すると、今後5年間を勝ち抜くための二つのキーワードが浮かび上がってくる。

 次ページでは塾への経営情報の提供やM&Aサポートを行う私塾界の山田未知之社長、中学受験に詳しい石田達人氏に超少子化時代の塾の生き残り戦略を聞いた。私塾界作成の100社以上が登場する「教育業界相関図」も紹介する。

塾勢力図サンプル