株価・給料・再編 5年後の業界地図#11Photo:123RF

インフレ懸念などから年明け以降、軟調な地合いを続けてきた米国株。ただし高成長に期待できる優良株がひしめき、中長期的に見れば押し目買いの好機とも捉えられる。そこで、特集『円安・金利高・インフレで明暗くっきり! 株価・給料・再編 5年後の業界地図』(全24回)の#11では、時流に乗り、今後5年を見通しても事業拡大を続けそうな厳選10銘柄をリスト化。さらに、米ダウ工業株30種平均について、「5年後5万ドル」の大台乗せが見込める理由も併せて解説する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

絶好調だった上昇相場から一転
中長期的には押し目買いの好機か

 高インフレ、ウクライナ戦争、最近では本格的なリセッション(景気後退)懸念まで……。米株式市場がまれに見る難局に直面している。

 特に約40年ぶりの歴史的な物価高局面が続く中、足元では労働市場の変調を指摘する声も浮上。市場ではこのところ、米連邦準備制度理事会(FRB)がいかに「インフレ退治」に動くかという話題で持ちきりだ。むやみに利上げを急げば「オーバーキル」と呼ばれる景気への悪影響も顕在化しかねない、危うい均衡のさなかにある。株価が絶好調だった昨年までとは、相場環境が一変しているのだ。

 目先の相場の焦点がインフレなのは間違いない。物価高が長引くほど、コスト高や消費への悪影響などを通じ、これまで堅調だった米企業収益にも下押し圧力をかけかねない。
 

 実際、2020年3月の「コロナショック」を経てから上り調子だった米国株は、インフレ懸念などを織り込む形で今年に入り、大幅な調整局面を迎えている。

 もっとも、米株式市場には高成長に期待できる優良株がひしめいている。これまでにも幾多の難局を乗り越え、長期的な上昇相場を続けてきた。長い目で見れば「押し目買いの好機」と捉える市場関係者は多いのだ。市場では、ダウ工業株30種平均が「5年後5万ドル」の大台に乗せても決しておかしくないとの声が出ている。

 次ページでは、その理由を明らかにするとともに、米国株を長く担当するベテランアナリストが、今後の高成長に期待できる10銘柄を厳選してリスト化。霧を抜けた先に大きな果実を生む可能性がある、有望株の存在を開陳する。